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大阪通り魔事件を考える

 「人を殺せば死刑になると思った」と容疑者が供述する事件がまた起きた。6月10日に大阪・ミナミの繁華街で起きた通り魔事件。通行人の男女2人が刺殺された。逮捕された36歳の男は、覚せい剤取締法違反罪で服役し、5月24日に出所したばかり。「住む家も仕事もなく、生きていくにはどうしたらいいのか、と自殺を思い立った」と供述した。
 東京・秋葉原の無差別殺傷事件から6月8日で4年。同じ日に大阪の池田小事件から11年を迎えた。茨城県土浦市の事件も、広島のマツダの工場の事件も…。「死刑志願者」の無差別殺人が繰り返されるたびに「なぜ」が浮かぶ。
 こうした重大事件の再犯防止を考えるのが「死刑でいいです-孤立が生んだ二つの殺人」だ。大阪の姉妹刺殺事件を起こして25歳で死刑になった山地悠紀夫は、16歳の時に母親を殺していた。少年院を出た後、支える人もなく、仕事もなく崩れていった。この事件からはタイトル通り、孤立が殺人を生んだことが分かる。
 事件が起きると必ず厳罰化が叫ばれる。しかし、長い目で見れば、出所者の立ち直りを支えることが再犯を防ぎ、結果的に社会を守ることになる。
 この機会に本書を読んでいただき、事件を教訓に一緒に今後のことを考えたい。

【書名】死刑でいいです
【副書名】孤立が生んだ二つの殺人
【編著者】池谷 孝司
【価格】1,470円(税込】
【ISBNコード】978-4-7641-0604-8 C0036
【仕様】四六判 並製 288ページ
【発行年月】2009年9月

【内容紹介】「私は生まれてくるべきではなかった」。
そう言い残して2009年夏、25歳の若者は死刑になった。16歳で母親を殺害し、少年院を出た後、再び大阪で姉妹刺殺事件を犯した山地悠紀夫元死刑囚。反省はしないが、死刑にしてくれていい。開き直った犯罪者の事件が続く。
秋葉原の無差別殺傷事件、茨城県土浦市の連続殺傷事件・・・。彼らは他人と自分の死を実感できていたのか。死刑にするだけでなく、なぜそうなったのか、どうすれば防げるかを考えるべきではないか。そうでないとすぐ次の凶悪犯が生まれるだけだ。事件を起こした山地悠紀夫死刑囚は少年時代に広汎性発達障害と診断され、後に精神鑑定では人格障害とされた。
16歳で母親を殺害した男が再び犯した大阪の姉妹刺殺事件を追い、日本社会のひずみをえぐりだす渾身のルポルタージュ。裁判員裁判が開始された今、一般市民が死刑の評決を下さなければならない時代。だからこそ読んでほしい一冊!

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