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楔形文字をよむ

 楔形文字は、エジプトなど使用されたヒエログリフと並ぶ、人類最古の「文字」。紀元前3000年から紀元100年ごろまで、メソポタミア地方を中心に使用されていた文字だ。

 先を楔形にした尖筆を粘土板に押し付けて記したため、三角系の『楔(クサビ)』が沢山並んでいるような模様になる。柔らかい粘土板を利用したことから、書き直しが可能で、粘土板を高温で焼けば恒久的な保存が可能。その利便性の高さから、この文字を発明したシュメール人だけではなく、次第に近隣の他の民族(アッカド、バビロニア、エラム、ヒッタイト、など)の民族固有の言語を書くのにも用いられるようになった。

 しかし、アッシリアが支配地域を広げた紀元前650年ごろには、現在中東系の文字の祖「アラム文字」や、「フェニキア文字」、「アルファベット」などにその国際文字としても地位を譲り、中世・近世には読める人がいなくなっていた。

 解読の取組が本格化したのは19世紀になってからだ。本書では19世紀中頃から、ときには協力し、ときには競いながら学者たちが試みた解読の歴史を紹介している。

◆◆◆◆ 目次 ◆◆◆◆

楔形文字の使用
古代オリエント諸王国のの興亡とその言語の解読過程
古代オリエントの再発見
楔形文字解読の最初の試み
古代ペルシア語の解読
ティグラト・ピレセル1世の碑文の解読(1857年)
ジュール・オペール(1825~1905)
3人のイギリス人学者
アッカド語表記における音節表記法の採用
シュメール語とその解読
アルファベッドの発明
粘土板文書
様々な書材
書記の教育
書記の仕事

署名:楔形文字をよむ
著者:ブリジット・リオン セシル・ミシェル=編 中田一郎=日本語版監修 渡井葉子=翻訳
価格:1890円
発売日:2012年10月

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