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ゲームを面白くする技術を、ゲーム以外に使ってみるとどうなる?

 マイクロソフトのオフィスのローカライズ(現地語化)で、ゲーミフィケーションの手法が使われたという。バグや誤訳などのチェックは、楽しい仕事には思えないが、まるでゲームで点数を競うように、間違い探しをやってみたら、大成功。皆わくわくしながら、間違い探しにいそしんで、またたくまに製品化に成功した。

ゲーミフィケーションとは、非ゲーム的文脈でゲーム要素やゲームデザイン技術を用いることである。こんな例もある。フォルクスワーゲンの「フォンセオリー」と呼ばれる活動の一環で、スウェーデンの公園に置かれたごみ箱。見た目は普通のゴミ箱なのだが、ゴミを捨てると、かなり長く落下音が続いたあとに「ポン」と底に当たった音がする。センサーを取り付け、効果音が出るように工夫したものだ。面白いから、ゴミを捨てる人が増え、周辺のゴミが減ったという。

「フォンセオリー」からもう一例。健康のためにエスカレーターではなく階段を歩こうと提案しても、わざわざ階段を歩く人は少ないものだが、スウェーデンの地下鉄では、ユニークな階段が設置され、階段を行く人が増えたという。それはピアノ階段。階段はピアノの鍵盤のようにペイントされていて、歩くと音が出るのだ。

このようにゲーミフィケーションを用いることで、人々のさまざまなモチベーションの向上をはかることができる。ドーパミンが出まくって、皆目の色が変わるというわけだ。ではモチベーションを向上させるゲーミフィケーションをいかに構築するか。楽しさを提供するさまざまな技術、技法をゲームから抽出していき、それを一つひとつの事案に適用していくことが必要になる。

本書は、ペンシルベニア大学ウォートン・スクールで行われている、ゲーミフィケーションの講座が土台である。ゲーミフィケーションをビジネスやNPOなどの活動にいかすには、どうしたらいいかを体系的に学べるようになっている。有名ビジネススクールの講座を家にいながらにして体験できるのだ。将来次々に登場するゲーミフィケーションの担い手は、あなたになるかもしれません。

 
 
 
 

書名:ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義
著者:ケビン・ワーバック/ダン・ハンター
監訳者:三ツ松 新
訳者:渡部典子
発売日:2013/11/21
定価:1,680円(税込)

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