75歳を迎えた天才写真家アラーキーは今日も絶好調。そのパワフルな仕事ぶりに密着するのはもちろんのこと、彼の写業を、電通時代のスクラップブックから現在にいたるまでを紹介します。なかでもアラーキー自らが解説する作品群、『さっちん』(1964年)、『わが愛・陽子』(1976年)、『荒木経惟の偽ルポルタージュ』(1980年)、『東京物語』(1988年)、『愛しのチロ』(1990年)、『センチメンタルな旅 冬の旅』(1991年)などは、歴史を変えた傑作です。つねに新しいテーマや手法にチャレンジし続けていますが、中判、コンパクト、インスタントフィルムと異なるフォーマットのカメラを自在に操る複眼的な撮影法はその最たるもので、独特のリズムと世界観を作りだしています。
8つのテーマで撮り下ろした最新作や、アラーキーの魅力をひも解く15人の証言、淫らで楽しく心に残るアナーキー語録など見どころ、読みどころ満載の特集。生と死、静けさと猥雑さ、狂気とユーモアが同居するアラーキーの力強い作品に潜む「切なさ」がいつまでも記憶に残ります。
誌名:Pen10/15号発売日:2015/10/1定価:650円(税込)