「1964　前の東京オリンピックのころを 回想してみた。」　泉麻人著

サブカルチャー、昭和、東京などをテーマに多くの作品がある泉麻人さんが、前の東京オリンピックが行われた1964年を、小学2年生の頃の記憶を入り口に回想した。

ひょっこりひょうたん島、吉永小百合の映画、舟木一夫のヒット曲、鉄腕アトムのシール、忍者部隊月光、夢の超特急、オリンピック...記憶に残る事象をふり返りながら、ときにちょっと斜めの視線で、当時と現在とのギャップをおもしろがる。

切手について書かれた章には、こんな一文がある。

「派手なインフラ事業の切手が並んでいる。記念切手のネタを見るだけで、国ごとガラリと変貌していく感じが伝わってくる」

街並みや流行風俗に顕著な変化が訪れた〝エポックな年〟を再現した書き下ろしエッセー。体験を共有した年齢層はもちろんのこと、いまどきの昭和ノスタルジー・ファンも楽しめる。