仕事や家事、育児に追われる日々。心にゆとりが欲しくて新しい趣味を探すも、教室に通わないといけなかったり、道具が必要だったり、ハードルが高い。もっと気軽に始められる趣味はないかしら......と本屋で手に取ったのがこちら。
『筆ペンで描く日本画の動物たち』(宝島社)は、鳥獣戯画に出てくるウサギやカエル、サルなどのキャラクターや、歌川国芳のネコ、丸山応挙のイヌ、伊藤若冲のゾウなど一度は目にしたことのある絵画の中の動物たちを、筆ペンでサラッと描けるようになる練習本だ。
必要なのは、筆ペンだけ。本誌では、極細の毛筆タイプを推奨している。描くものによっては、うす墨やカラーインクの筆ペンを使い分けるとよい、とある。道具はかんたんに手に入るし、場所をとらないし、誰かに教わらずとも一人でできる。これなら手軽に始められそうだ。
さっそく、鳥獣戯画のウサギに挑戦してみた。
はみ出さないよう注意しながら、ひしゃくを持ったウサギの下絵をなぞる。つい力が入ってしまったが、強弱をつけると同じウサギでも表情が違って見えるのが面白い。
本書では、①薄い下絵をなぞる、②細い実線をなぞる、③お手本を参考に下絵なしで描く、の3つのステップでレッスンをする。3回で習得するのは難しいので、繰り返し練習できるようコピーをとっておくのがおすすめ。一部の作品には、右側のページに手順やポイントが掲載されている。
なぞっただけとはいえ、初めてにしては我ながらいい出来だ。気をよくして、ほかの動物たちも描いてみることに。
本誌で取り上げているのは、鳥獣戯画の名場面のほか、歌川国芳、葛飾北斎、丸山応挙、伊藤若冲、長澤芦雪という5人の巨匠が描いた動物たち。襖絵や浮世絵で観ると「芸術」だが、線画にすると、どれも愛嬌のあるキャラクターに見えてくる。
こちらは、とぼけた表情がかわいい伊藤若冲のカエル「全体を大きな岩山をイメージして描く」のがポイントだ。
筆ペンでなぞった後、薄墨とカラーペンで模様をつけたのが下の画像。今回は、お手本を見ながら自分で描くステップ③まで挑戦してみた。
自力で描いたら、前脚を描き忘れて後から足したり、口が曲がってしまったり、なかなか手本の通りにはいかない。ふてぶてしさが加わったが、これはこれで味があっていいかも、と思えてくる。
お次は葛飾北斎の『略画早指南(初編)』に描かれているサル。ピンクで彩色すると、ファンキーなモンキーに。
本誌には、人気の動物たちの下絵が描かれた上質和紙2枚と、ポストカード5枚(うち2枚には鳥獣戯画のウサギ、歌川国芳のネコの下絵つき)が特別付録としてついてくる。和紙は練習用に、ポストカードは暑中見舞いやちょっとした挨拶状にも使える。
写経や絵手紙は根気やセンスが求められそうで敬遠していたが、これなら誰にでも楽しめる。メモや一筆箋のはしっこに、サラサラっと描けるようになりたい。
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