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ペットの声が聞こえる女性僧侶。犬や猫が見ている世界とは?

ペットの声が聞こえたら

 高野山真言宗の女性僧侶・塩田妙玄(しおた みょうげん)さんは、ときどき犬の言葉がわかったり、猫の心の声が聞こえたりすることがあるという。

 動物保護施設のボランティア活動も行っている妙玄さん。そこでキャッチした、犬や猫たちが感じていること、思っていることとは。

 塩田妙玄さん原作、オノユウリさん作画の本書『ペットの声が聞こえたら 命をつなぐ保護活動編』(HONKOWAコミックス)は、動物保護施設の犬や猫たちとの摩訶不思議な交流記「ペットの声が聞こえたら」シリーズ第8弾。

 「ペットたちはいつも寄り添い――語りかけている......
  命は長さではない 幸せは分量ではない
  小さな命がわたしたちに教えてくれる『生きる』ということ」

生と死のドラマ

 「ペットの声が聞こえたら」は、不思議と神秘のパワーコミック「HONKOWA(ほんとにあった怖い話)」で連載中。

■CONTENTS

・第43話 ピースのこと
 三重苦ながら怒ったところを見たことがない穏やかなピースのお話。
・第44話 ちゅーじのこと
 超ビビリで施設内でもノラ状態だった幼猫ちゅーじのお話。
・第45話 紋次のこと
 保健所から引き出したオス犬・紋次のお話。
・第46話 カケルのこと
 往復5時間もの距離をお手伝いに来てくれているやさしいあゆちゃんと、彼女が出会った子猫のカケルのお話。
・第47話 クミンのこと
 熊本の預かりボラさんから引き取ったクミンとその里親さんと、妙玄さんの保護活動を支える存在の不思議なお話。
・第48話 たぬきとうーちゃんのこと
 妙玄さんが頭のケガの後に体験した不思議な出来事の数々。
・妙玄のゆるりんコラム
 いつかまた会える日を願って/短い間でもかけがえのない存在へ ほか
■CHARACTER

・塩田妙玄
 トリマー、ペットライターなどさまざまな職業を経て、高野山真言宗僧侶兼心理カウンセラーに。最近では執筆業にも励み、仕事のかたわら愛さんの動物保護施設でボランティアもしている。
・愛さん
 会社員として勤めながら、個人で動物保護施設を運営。現在までに犬猫以外の動物を含め、千単位近く保護してきた。動物たちのお父さん。

 可愛らしいタッチのイラストながら、病気や怪我を負った犬や猫たちの描写がリアルだ。こんなにつらい思いをしている動物たちがいるのかと、衝撃を受ける。

 同時に、施設で繰り広げられる生と死のドラマから「縁を結ぶことに時間の長さは関係ない」「生きているだけで誰かの役に立っている」「できないことよりできることを数えよう」......と、人間にもあてはまる「生きる」ことの本質のようなものを教えられる。

私たちは必ず誰かのために役立つ

 ここでは「第43話 ピースのこと」を紹介しよう。抜歯の麻酔の影響で、目が見えない・鼻がきかない・耳が聞こえない三重苦になってしまったピース。たくさんの障害を持つピースは、どんなふうに世界を感じているのか。

 いきなり暗闇の世界に放り込まれ、パニックになりながらも手探りで生きてきた。数年後、三重苦の上に発作と脳腫瘍にも苦しむように。それでもすべてを受け入れ、毎日発作と闘っている。

 そんなピースの日常を妙玄さんがブログにつづっていると、「学校で嫌なことがあってもピースちゃんを見習って乗り越えます」「いつも勇気をもらってます!」......と、全国のファンから応援メッセージが届くという。

 「この生きづらい時代の中で、ピースは私たちにとても大切なことを教えてくれている、そう感じています。世界が見えることへの感謝。音が聞こえることの安心感。匂いや味がわかることの喜び。自分の力で生きるという奇跡。そして私たちは必ず誰かのために役立つことができる存在だということ」

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 「人間と動物」「生と死」の境なく、世の中を見つめる妙玄さん。お世話に大奮闘したり、時に大怪我を負ったり......と、妙玄さんの彼らへの関わり方は想像以上に深かった。

 動物たちの感じている世界とシンクロしたり、亡くなった後の姿が見えたり声が聞こえたりする妙玄さんの不思議な感覚が、オノさんのイラストで見事に表現されている。気持ちを想像してみると、ほんとうに彼らの声が聞こえてくるのかもしれない。


■オノユウリさんプロフィール
 漫画家、イラストレーター。2匹の犬飼い。著書に『となりのユトリーマン これからの社会を担う(かもしれない)次世代サラリーマンの取扱説明書』(原作・アコナイトレコード)、『美術館で働くということ 東京都現代美術館 学芸員ひみつ日記』がある。

■塩田妙玄さんプロフィール
 高野山真言宗僧侶、心理カウンセラー、生理栄養アドバイザー、陰陽五行・算命師のほか、執筆業にも励む。著書に『ペットがあなたを選んだ理由』『続ペットがあなたを選んだ理由』『捨てられたペットたちのリバーサイド物語』『ねこ神さまとねこおやじ』『ペットたちは死んでからが本領発揮!』『40代から自分らしく生きる 体と心と個性の磨き方』などがある。


※画像提供:朝日新聞出版


 
  • 書名 ペットの声が聞こえたら
  • サブタイトル命をつなぐ保護活動編
  • 監修・編集・著者名オノ ユウリ、塩田 妙玄 著
  • 出版社名朝日新聞出版
  • 出版年月日2021年7月30日
  • 定価913円(税込)
  • 判型・ページ数A5判・176ページ
  • ISBN9784022758682

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