大人から見れば、体力があり余っているイメージのある中学生。しかし、「朝起きられない」「気持ち悪くて動けない」と悩んでいる子どもが少なくないという。「反抗期」や「甘え」だと思っていたら、実は病気だったということも――。
漫画家の月本千景さんの『学校に行けなかった中学生が漫画家になるまで―起立性調節障害とわたし』(中央公論新社)は、月本さんが中学生の頃に発症した「起立性調節障害」についてコミックエッセイの形で綴られている。noteでの連載を書籍化したもの。
小さいころは健康体で、ケンカが強く、「な~んの悩みもない平和な人生」を送っていた月本さん。小学校6年生の時、授業中に突然、先生や友達の話が聞こえているはずなのに理解できない、習ったはずの問題が解けないなどの「兆候」が現れた。その日を境に、授業の内容が耳に入ってこない、時々記憶がなくなる、急に片目が見えなくなるなど、さまざまな症状に襲われ、言葉がうまく出てこないことから、友人とのコミュニケーションもままならなくなっていく――。
こうした症状は、起立性調節障害(OD)によるものだった。
起立性調節障害は、程度の差こそあれ、10代の10人に1人が発症するという病気だ。自律神経の不調が原因で立ち眩みやめまいが起きる。時には倒れてしまうことも。
それほど多くの子が悩んでいるにも関わらず、周囲の理解はまだまだ少ない。本書では、病名が判明するまでの混乱した気持ちや、診断がついたときの安堵、周囲への感謝、皆と異なることへの不安など、月本さんがさまざまな感情に気付き、迷いながらも成長していく様子が描かれている。
月本さんは、「同じ病気の方やそうでない方からも『元気をもらった』『この本を読めて良かった』とメッセージをいただけました。ありがとうございます」とコメントを寄せた。
まさに今悩んでいる人や、思春期のお子さんを持つ保護者の方にも読んでほしい1冊。当事者ではなくても、知識があることで救える友人が、あなたの近くにもいるかもしれない。
■月本千景さんプロフィール
1994年兵庫県生まれ。漫画家。作家エージェント会社「コルク」所属。中学生のころに「起立性調節障害」を発症し、3年間ほぼ不登校に。闘病しながら通信制の高校に通い、将来の進路を意識し始めたころ、自分にできることは何かを考えて漫画家になることを決意。22歳で某マンガ雑誌編集部の月例賞佳作受賞。Twitterのフォロワーは5万人を超える。
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