うす味、生ハムメロン、リフレイン――。
いったい何の話? と思うような言葉の並びだが、実はこれ、一流アナウンサーが教えてくれるコミュニケーションの秘訣なのだという。
日本テレビ所属の藤井貴彦アナウンサーの本『伝わる仕組み 毎日の会話が変わる51のルール』(新潮社)は、日常会話から会議、プレゼンといった、社会人が「話す機会」に、どうすれば自分の真意が相手に伝わるのかを実用的につづった一冊だ。
藤井さんはスポーツ実況アナウンサーとして、サッカー日本代表戦、高校サッカー選手権決勝、クラブワールドカップ決勝など、数々の試合を実況。2010年4月からは夕方の報道番組「news every.」のメインキャスターを務め、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨などの際には、自ら現地に入って被災地の現状を伝えてきた。新型コロナウイルス報道では、視聴者に寄り添った呼びかけが「言葉が響く」「心に届く」と話題を呼んだことも。
本書では、そんな藤井さんが、27年の経験から得たコミュニケーションの実践的メソッドを大胆に公開している。
たとえば、第1部の「言葉の組み合わせは「生ハムメロン」で」と題した項では、相手の心を掴む言葉の組み合わせ方を、イタリアで食べた生ハムメロンのエピソードを引きながら紹介。しょっぱくて乾いた生ハムと、甘くてジューシーなメロンが組み合わさると絶妙な美味しさが生み出されるように、「言葉も『対極のもの』を組み合わせると不思議な魅力が生まれる」という。
<例えば「絶賛」という言葉があります。この言葉には「発売中!」というような勢いのある言葉が合いますが、そこにあまり動きのない言葉、例えば、「休憩中」という言葉をあてがってみます。
「私は今、絶賛休憩中です」
こう言えばたとえサボっていたとしても、仕方ないかと許してもらえそうです。>(14 言葉の組み合わせは「生ハムメロン」で より)
また、第3部にある「パニックになったら『リフレイン』」では、何か質問をされてパニックになった時の対処方法が紹介されている。会話の最中、突然の割り込みが入ったり、予想外の質問が来た時、焦って会話が続かなくなってしまう......そんな状況を防ぐ方法として、藤井さんは「リフレイン」を推奨する。
「リフレイン」とは、相手の発言を繰り返して口に出し、相手に確認を求めることを指す。こうすれば、相手が「そうです」と答える時間も含め、冷静になるための時間を捻出できるのだという。
<一方、このように途中でカットインしてくる人は、独特のリズムを持っている人か、敢えて議論を仕掛けようとする傾向のある人です。そういう人ほど受け応え次第では、調子に乗ってしまう可能性があるので、リフレインしながら時間を作り、冷静に対応するのがベストです。>(40 パニックになったら「リフレイン」より)
ほか、緊張を解く方法や、話すスピード、人にお願いをする前のチェックポイントなど、すぐにでも取り入れたいテクニックや心得が、ロジカルに、あたたかく、具体的に書かれている。毎日のコミュニケーションを見直すのに最適な本書。職場や家庭での会話をより円滑に進めたい人は、ぜひチェックしておこう。
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