いつの日か誰もが直面する、避けては通れないのが、親の遺産相続や贈与の問題である。
2022年5月7日に発売された『いっきにわかる! 相続・贈与 令和4年度改正対応版』(宝島社)は、相続と贈与にまつわる基礎知識や節税テクニックを、豊富なビジュアルとともにわかりやすく解説したムック本だ。
ここでは「Part1 みんなここで悩んだ! もめた! 相続・贈与のトラブル実例集」から、押さえておきたいポイントについて2つのケースを紹介しよう。
1つめは、長男の嫁として義父母の介護に努めてきたというケースだ。数年前に義父が亡くなり、誰よりも介護を頑張っていたのに少しも遺産をもらえずやりきれなかった......という相談者。介護に尽力した親族は、相続人でなくても遺産がもらえるのだろうか?
この疑問に対して専門家は、次のように回答している。
「2019年7月の改正で、相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の介護等を行った場合には、相続人に対して金銭的な請求をすることができるようになりました」
ただし、財産を遺して亡くなった被相続人(この場合は義父母)ではなく、財産を受け取る権利を有した人=相続人に請求する必要がある。相続とは違い、請求権を行使しなければもらえないという。
相続人に請求すれば、義父母の介護の貢献度に応じた金銭を受け取ることができるとのこと。覚えておいて損はない情報だ。
次は、相談者が、事業で失敗したひとり息子の借金1000万円を肩代わりしたというケース。息子が趣味で集めた車などを売れば返済できないことはないものの、「必ず返すから」と泣きつかれた相談者。「いずれ遺産として息子のものになるのだし」という気持ちから貸したが、税理士からは、息子に贈与税が課される可能性を指摘された。もし課税されるとすれば177万円もの支払いになるという。この場合は、どうすればいいのだろうか。
本書で、専門家は「親子間の貸し借りに贈与税はかからないが、返済能力がある人の借金の肩代わりは『貸し借りを装った贈与』とされて贈与税がかかる可能性がある」と回答している。
「返済の事実がないと、贈与だと指摘される原因になります。『贈与ではない』と主張するためには、契約書をつくりましょう」
「(一時的に)貸す」のと「肩代わりする」のとでは異なるということを、理解しておこう。さらに、返済するときは、履歴が残る振り込みで行うほうがいいとのこと。親子間での貸し借りであってもしっかり契約書は作るようにしたい。
A4サイズの本書は、豊富な図表も見やすく、相続・贈与の基礎知識をスムーズに学ぶことができる。家庭に1冊置いておけば、心のお守りになってくれるのではないだろうか。
(犬飼あゆむ/ライター)
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?