海の中を悠々と泳ぐクジラたち。優美なその姿に惚れ込むクジラファンも多いと聞く。最新の研究結果から、クジラたちの歴史を描く科学絵本『クジラの進化』(講談社)が9月1日に発売される。
表紙にも描かれているように、約5000万年前には、4本足で歩くクジラもいたそう。大昔に存在した「パキケタス」には、水かきがあったのだ。まるで実際にその姿を目にしているかのような臨場感がある、圧巻のイラストに魅入られる。
本作は、海洋哺乳類を撮り続けるカメラマンの水口博也さん(講談社出版文化賞写真賞受賞)、古生物復元画の第一人者である小田隆さん、古代鯨類の研究を続ける木村敏之さん(群馬県立自然史博物館)の3人がタッグを組んで作り上げた。
小田さんは、下記のようにコメントをしている。
「これまで多くの古生物の復元画を描いてきましたが、それらを観察して描くことは不可能です。化石でしか残っていない生物の姿を、研究者とともに科学的に復元する作業は楽しいですが、どこまでいっても正解のない世界です。科学はこれからも新たな発見を積み重ねていきます。数年後にはこの絵本で描けなかった事実がわかってきているかもしれません。この本に全ての化石種、現生種が登場するわけではありませんが、最新の研究に基づいた現時点でわかっているクジラの進化について、楽しく知ることができる1冊だと思います。」
古代鯨類の研究は今も盛んに行われている。本作の制作中、何度もやり取りされたのは、「初期のヒゲクジラに、ヒゲ板と歯を一緒に持っていたものはいたか?」という問いだ。
絵本には、初期のヒゲクジラの一種である「エチオケタス」が登場する。検討を重ねた結果、ヒゲ板がない種で描かれ、「ヒゲ板と歯を一緒に持つヒゲクジラ類がいたかどうかについては検討中である」と巻末のクジラ紹介に補足されている。
さらに、実際に誰も見たことがない「エチオケタスが小魚を食餌しているシーン」も、最新の研究結果をもとに検討を重ねて描かれた。
お子さんにもクジラの魅力が伝わるように、随所に工夫が散りばめられた本作。生命の奇跡を学ぶ一つのきっかけとして、親子で楽しんでみてはいかが。
絵本はすでに予約販売が始まっている。10月には原画展も開催されるので、絵本とともに、大迫力の鯨たちの姿を楽しもう。
◆『クジラの進化』原画展◆
期間:2022年10月1日(土)~10月31日(月)
場所:大垣書店イオンモールKYOTO店
京都市南区八条通西洞院下ル(新都ホテル隣)
電話:075-692-3331
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