第22回〈有老協・シルバー川柳〉の入選作品が、2022年9月6日に発表された。今年もクスッと笑える力作ぞろいだ。
銭湯で 全裸の祖父が マスクつけ
お年玉 持続可能か 聞くな孫
どうしましょ 三個あります マヨネーズ
電話口 本当なんです 市役所です
黙食と 思っていたら 寝てた祖父
など、シルバーあるあるや時事ネタを織り込んだ20作品が入選となった。
BOOKウォッチは、「兄弟で ひとり薄毛の 変異株」で初めての入選を果たした風信子(ヒヤシンス)さんにお話を伺った。60代の主婦で、普段から自分流に川柳を楽しんでいるというヒヤシンスさん。シルバー川柳は憧れの一つだったそうで......。
――まずは受賞おめでとうございます。
シルバー川柳の歴代の受賞作は傑作ぞろいで、私が川柳を作る中で目標の一つにしていたので、受賞できてたいへん嬉しく思います。
――受賞作はどのように作られたのでしょうか。
今年の流行語の中で特に「変異株」が印象に残ったので、「変異株」をキーワードにした川柳を作ろうと考えていました。
コロナの前に還暦のクラス会があったのですが、そのときに何十年ぶりに会う人もいて、男女ともに風貌がかなり変わっていました。髪が薄くなっている方、白髪の方、皺が増えている方など、それぞれ違いがあって、それがまず頭に残っていました。それから、法事に親戚が集まったときもそうですね。血がつながっていても、髪の毛がふさふさの方と薄い方がいて......その2つから、髪の毛は「年を取ってきた」という実感がわかるものだなと、イメージを膨らませて作りました。
――これまでも川柳を作ってこられたのですよね。
はい、コンスタントに作り始めたのは2014年頃からで、さまざまな公募に送っています。私は主婦で、働いている方よりは社会との接点が多くないので、川柳を通じて世の中の動きを知ったり、地方の公募では他の地方のことに触れたりする機会をいただいていると思っています。今「SDGs」が話題ですが、実は、私は「SDGs」という言葉を川柳から知ったんですよ。川柳を通じて、興味の範囲が広がっています。
――今回の応募者は9歳から107歳までと年代も様々です。川柳を楽しむ方が増えているようですね。
最近はTwitterの公募が多くなってきたので、若い方もたくさん応募してきています。20代、30代の方の発想はまた全然違いますね。選ばれる作風も、ウェブ上の公募とTwitterの公募とではかなり違って刺激的です。
川柳を作るとき、私は極力「中七(5・7・5)」にしていますが、7音に収めるのって実はすごく大変なんですよ。たとえば、妻を詠んだ川柳って多いじゃないですか。「妻」だと2音だけれど、同じように女性が夫を詠もうとすると、「夫」は3音なんですね。それで助詞が使えなくなったりして、最初の頃はとても困って......最近は工夫して「ツレ」と詠んでいます。
実際に作っている方の話を聞くと、川柳作りはなかなか奥が深い。あなたも一句詠んでみてはいかが?
シリーズ累計97万部突破の『シルバー川柳12』(ポプラ社)も、同日9月6日に発売された。家族で読んで笑うもよし、9月19日の敬老の日のプレゼントにもぜひ。
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