「ひとり出版社」のさきがけ、夏葉社(なつはしゃ)を営む島田潤一郎さん。編集経験ゼロで会社を立ち上げ、編集・営業・事務などをたった一人でこなしている。
スローガンは「何度も、読み返される本を。」。誰よりも本を愛する島田さんは、これまでにどんな本と出合ってきたのだろうか。『電車のなかで本を読む』(青春出版社)の中で、珠玉の49冊を紹介している。
本書は、高知新聞のフリーペーパー「K+(ケープラス)」上の連載を加筆・修正し、さらに書き下ろしの3篇を加えたもの。夏葉社を始めるきっかけとなった一篇の詩や、鬱屈としていた20代の頃に救われた本など、忘れられない作品の数々を、自身の体験をまじえて紹介している。
タイトル通り、島田さんは電車のなかで必ず本を読むようにしているという。
「ぼくは電車のなかでは原則、スマホを見ずに、本を読んでいました。そうすると、だいたい1週間で1冊本が読めて、年間で50冊本が読めました。10年電車で本を読めば500冊もの本が読めます。それは間違いなく、人生を豊かにしてくれます」(島田さん)
本は楽しい、成長できる......でもそれだけではない。島田さんが、誰かに届くように本を作り続けている、その理由がうかがえる一冊。
■島田潤一郎さんプロフィール
しまだ・じゅんいちろう/1976年、高知県生まれ。東京育ち。日本大学商学部会計学科卒業。大学卒業後、アルバイトや派遣社員をしながら小説家を目指していたが挫折。編集経験のないまま、2009年、吉祥寺にて夏葉社を創業し、「ひとり出版社」の先がけとなる。著書に『古くてあたらしい仕事』(新潮社、2019年)、『あしたから出版社』(ちくま文庫、2022年)など。
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