京都で、江戸時代から200年以上続く染色工房「染司(そめのつかさ)よしおか」。伝統の技法を受け継いで、紅花や藍など植物の色素で布や糸、和紙を染め、さまざまな美しい色を生み出している。
6代目当主・吉岡更紗さんの初の著書『新装改訂版 染司よしおかに学ぶ はじめての植物染め』(紫紅社)が発売された。これまで植物染めに全く触れたことのない人の挑戦をサポートする、わかりやすく詳しい入門書だ。
染司よしおかの植物染めは、表紙の写真からもわかる通り、透明感のある鮮やかな色合いだ。和装はもちろん、現代的なファッションやライフスタイルにも合わせやすい。
本書は1年間にわたって、工房の技法を本格的に紹介している。道具・布選びに始まり、各工程を写真つきで解説。タマネギやドングリ、コーヒーなど身近な染料から、黄色に染まる刈安(かりやす)、赤紫色に染まる蘇芳(すおう)など、ワンランク上の染料にステップアップする構成だ。
本書に登場する染料の一つ「茜」は、多年生のつる草。花は小さく淡い黄色で、根が赤色の染料になるため「赤根」と呼ばれるようになった。現在、日本茜は入手が難しいため、本書ではインド茜を使ってシルクのストールを染めている。
本書掲載の技法で、以下のようなおしゃれな小物を染めることもできる。
染料はすべて天然のもののため、最初はなかなか思い通りの色にならないかもしれないが、何度も作業を繰り返すことで、技術や色彩感覚が磨かれていくのだそう。お気に入りの一点ものを目指してチャレンジしてみては。
■吉岡更紗さんプロフィール
よしおか・さらさ/1977年京都生まれ。染司よしおか6代目当主。父は染織史研究家で多くの著書をもつ5代目当主の吉岡幸雄。2008年より生家「染司よしおか」で修業をはじめる。薬師寺伎楽装束の制作(2013年)、東大寺修二会椿の造花の和紙染め(2014年~)などを担当。2019 年「染司よしおか」6代目を継ぐ。
■染司よしおか
そめのつかさよしおか/京都において江戸時代から200年続く染色工房。天然由来の染料を用い、古来の染色技法により美しい染色を現代に甦らせる。東大寺修二会や薬師寺花会式で使われる染和紙を制作するなど古社寺の行事に関わる一方、「植物染めのシルク」が英国のV&A博物館に永久保存(2016年)されるなど、海外にも作品を発表している。
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