洗いざらしの白いシャツや無地の白Tシャツ、真っ白なパンツ。爽やかで、これからの季節にはぴったりだけれど、汚れが目立ちそうでなかなか手が出ない。ベースカラーなら、ベージュやグレーを選びがちだ。結果、無難でぼんやりした印象に......。
人気パーソナルスタイリストの杉山律子さんは、「白ほど使い勝手のいい色はありません」と言う。なぜなら、「季節を問わず、誰にでも似合う色」だから。なかでも「真っ白」はハードルが高そうに見えて、実はどんな色にでも合わせられる「万能カラー」なのだそう。
杉山さんが、「着こなし力」を身につけるためのセオリーを教えてくれる、『シンプルにはじめる 大人の着こなし入門 プロが教えるセオリー＆アイデア』（翔泳社）。前回の記事では、本書から手持ちの服でワンランク上のコーデが完成する「色合わせ」の基本を紹介した。今回は、大人の「白」の使い方について見ていこう。
杉山さんが本書で挙げている白の効果は大きく2つ。1つはコーデを素敵にまとめてくれる「抜け感」だ。また、例えばベージュとグレーの色合わせはどこか地味な印象になりがちだが、白を加えて「中和」すると一気にあか抜ける。
もう1つは「レフ板」効果だ。首周りやVネックから、ちらっと白を見せると、顔のくすみを回避してくれる。トップスを白にすれば、顔色がパッと明るく見える効果が期待できる。
白の効果を理解したところで、押さえておきたいセオリーは、「3色以上のコーディネートは『どこかに白』を意識する」ということだ。
下の画像のように、チャコールグレーのトップスに黒のボトムス、濃い茶色の小物を合わせた「ダークカラー3色コーデ」は、悪くはないが、全体に暗い印象を与えてしまう。
こんな時は、いずれかのアイテムを白にチェンジするのがセオリーだ。パンツを白に変えると、ぐっとあか抜けた印象になる。
以下は、杉山さんが長年の経験から厳選した、使い勝手のいい白アイテムだ。靴やバッグなども、夏はプチプラで買えるアイテムも多いので、新しく買い足すなら白を選ぼう。
（以下、本書から引用）
見せインナー
タンクトップやキャミソールなど、首元やVネックの襟元などにちらっと見える白が、抜け感プラスには効果的。また、トップスの裾からのぞかせたりしても。白の見せインナーの使い道は多様です。
ボートネックカットソー
カットソーの中でも、ネックレスやペンダントなどのアクセサリーと相性のよいネックラインが、ボートネックです。1枚持っておくと、どのアイテムともバランスよくまとまります。
ロングカーディガン
縦長効果が期待できるアイテム。面積が広いがゆえに、ダークカラーだと全体的に重くなりがちです。きれいめを目指すなら、ぜひ白系で押さえておきましょう。
バンドカラーシャツ
シャツの中でも襟をさほど主張せず、使いやすいバンドカラーは、着こなし次第で全てのイメージに使えます。アイロンがけが苦手な人は、ノーアイロンで着られるポリエステル素材がおすすめ。
ワイドパンツ
体型カバーにも役立つ、使い勝手のいいワイドパンツもぜひ白で押さえておきたいもの。身体にフィットしないゆったりラインなら、透け感も気になりません。
細身のテーパードデニム
細身のホワイトデニムは、足首にかけて細くなるテーパードラインがおすすめ。細身のちょいゆるサイズなら、レイヤードにも使えて便利です。
エコバッグ
買い物にマストな実用アイテムですが、じつはコーディネートに素敵なアクセントをつけてくれる優秀アイテム。シンプルコーデには、ロゴもいい仕事をしてくれます。
メルカドバッグ／ショルダーバッグ
夏コーデのアクセントに使いやすいカゴバッグ。薄着の季節、身に着けるアイテム数が少ない夏にこそ、主役のバッグが生きます。モノトーンのメルカドバッグなら大人の雰囲気に。もちろん、白系のバッグならミニショルダーやクラッチでもOK。ひとつあると助かるアイテムです。
ポインテッドトゥパンプス
ヘビロテしがちなデニムコーデも、足元がパンプスなら大人っぽく、きれいにまとまります。コーデに白が足りないとき、あると便利な鉄板アイテムです。
スニーカー
カジュアルの代名詞のようなスニーカーですが、きれいめを意識したコーディネートに取り入れてみて。真っ白ならカジュアルになりすぎず、おしゃれにまとめてくれます。
（以上、本文より）
エコバッグまでアクセントになるとは発見だ。白のパワーを借りれば、あなたの「着こなし力」はぐんと上がるはず。真っ白はなんだか気恥ずかしい、と敬遠してきた方こそチャレンジしてみてほしい。
本書では、色の基本から、「なりたいイメージ」の見つけ方、イメージ別の着こなしアイデア、服選びが楽しくなるクローゼットの整え方まで、シンプルで着こなしの幅が広がる「セオリー」をていねいに紹介している。毎日の服選びが楽しくなる一冊。
■目次
PART01 色について知る
PART02 なりたいイメージを見つける
PART03 コーディネートの基本パターンを知る
PART04 クローゼットを整える
PART05 モノ選びと着こなしのコツ
PART06 イメージ別着こなしアイデア
■杉山律子さんプロフィール
すぎやま・りつこ／一般社団法人スタイリストマスター認定協会代表／パーソナルスタイリスト
福岡県出身。文化服装学院スタイリスト科在学中より、スタイリストアシスタントとして活動。スタイリストとして独立後は、映画や広告、音楽業界など、幅広い分野でスタイリングを手がける。結婚、出産を経て、整理収納アドバイザーに。2010年より大手デベロッパーが手がけるモデルルームの収納コーディネートに参画。約30カ所の実績を持つ。2016年よりパーソナルスタイリストの活動を開始。顔立ちや体型、内面からのぞく雰囲気に合わせた「一番、素敵に見えるスタイル」を提案、個性を引き出したスタイリングには定評がある。2018年に一般社団法人スタイリストマスター認定協会を設立。パーソナルスタイリング講座に加え、ファッションのプロ「スタイリストマスター」の育成にも尽力している。また、スタイリストマスターと共にDMMオンラインサロンを運営するほか、テレビやラジオ、雑誌などさまざまなメディアに出演するなど、多方面で活動している。著書に『クローゼットは3色でいい』『ファッションの主役は1つ』（KADOKAWA）、『手持ちの服でなんとかなります』（サンマーク出版）がある。
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