蒸し暑い日が続くと、いつも以上にビールが飲みたくなってくる。これからお酒がいっそうおいしくなる季節だ。健康診断の結果が気になるし量を控えないと......と考えている人は、医師が勧める「最強の飲み方」を試してみてはどうだろう。
『86歳の酒好き医師が教える 最強の飲み方・最高の食べ方』(実務教育出版)は、生活習慣病や肥満を遠ざけ、健康で長生きするためのお酒の飲み方や、肝臓や腎臓を守るための食事の摂り方などを医学的かつわかりやすく解説した1冊。
本書では、自身もお酒好きである医師が勧めるおつまみや、お酒の種類に合ったおいしい飲み方、二日酔いしないための飲み方など、健康寿命を延ばし人生を豊かにする飲酒術が紹介されている。
「第3章 健康寿命を延ばす最強の飲み方」では、飲んでから食べるのではなく、食べてから飲むのでもなく、「食べながら飲む」ことの大切さを強調している。
よく「大酒飲みは肝硬変になる」などと言われることが多いが、著者の志賀さんによれば、必ずしもお酒が肝硬変を引き起こすとは限らないという。
「むしろその原因は、タンパク質、ビタミンなどの不足をまねく粗食にあるとする考え方が有力です」
おつまみは、お酒をおいしく飲むためだけでなく肝臓と体を守り、栄養バランスを保つためにも必要なのだそう。
一方で、「食べてから飲むと酔わないから、食事をしてから宴会に出かける」という人はいないだろうか。「おなかに食べ物を入れてからのほうが酔いにくい」というのは、実感としてある人も多そうだ。
しかし、志賀さんは「食後の酒は、原則として避けるべき」としている。
たしかに、満腹のときに飲むとアルコールの吸収が遅くなるため酔いが回りにくくなり、アルコールの血中濃度も低くなったように感じるという。けれど、食べ物といっしょに腸に残ったアルコールが絶えず少しずつ吸収されるため、血液中のアルコール濃度が長時間持続されてしまうのだそう。
「相当量を飲んでも血中濃度が高まらないので酔いにくいと思いがちですが、それは決していいことではありません。かなりいい気持ちになった頃には、飲みすぎているからです」
その結果、二日酔いの原因にもなりやすいとのこと。「食事をしてから飲み会へ出かける」習慣のある人は、今一度、見直すのがよさそうだ。
本書ではこの他にも、お酒を飲むときに意識したいちょっとした習慣やおつまみの選び方など、知っておけばすぐに実践できる「最強の飲み方」「最高の食べ方」が多数紹介されている。お酒が好きで、健康に長生きしながら飲み続けたい人には必携の書と言えるだろう。
著者の志賀貢さんは、内科医として約55年にわたり診療してきたベテラン医師であり、80代と高齢ながら自身も大好きなお酒を正しい飲み方で楽しんできた愛飲家でもあった。本書は、2023年2月に逝去した志賀さんが2022年11月に書き上げた原稿を、編集し遺作として刊行されたもの。
■志賀貢さんプロフィール
しが・みつぐ/北海道生まれ。医学博士、作家。昭和大学医学部大学院博士課程修了。長らく同大学評議員、理事、監事などを歴任。内科医として約55年にわたり診療を続け、その傍らで執筆活動を行い、数百冊の作品を上梓。作詞家としても活躍し、美空ひばり『美幌峠』『恋港』 などを手がけた。北海道の屈斜路湖畔を望む美幌峠には歌碑が建っている。主な著書に『医者のないしょ話』(角川書店)、『まちがい健康学』(毎日新聞社)、『肉を食べて健康にやせる』(光文社)、『大人の健康「新」常識』(PHP研究所)、『臨終の七不思議』(幻冬舎)、監修に『図解 眠れなくなるほど面白い病理学の話』(日本文芸社)など多数。2023年没、享年87歳。
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