もはやChatGPTのことを知らずして、世の中は回らないのではないかというほど、この人工知能(AI)が話題になっている。ビジネスや教育、果ては犯罪にまで使われる可能性が指摘され、先に広島で開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)でも議題に上った。
だが、実際に使ってみたことのある人がいるのかというと、意外と少ない。なんとなく怖いし、難しそうだという理由もあれば、そんなものは要らないという向きもあるだろう。そんな人は、まずはこの本を手に取ってみてはいかがだろう。インプレス社から2023年4月に出た『先読み!IT×ビジネス講座 ChatGPT 対話型AIが生み出す未来』は、肩ひじ張らずに、ちょっと使ってみようかという人のための入門書だ。
株式会社デジタルレシピの取締役・最高技術責任者の古川渉一さんに、ITライターの酒井麻里子さんが初歩の初歩から聞いていく形式なので、ChatGPTはもちろん、基本的なAIの原理から対話型生成AIについての原理がわかる。
もちろん、ChatGPTをどこから使い始めればいいのかについては、まさに手取り足取りといった感じで教えてくれる。無料版と有料版の違いから、酒井さんが自分でChatGPTに質問しながら文章を書いてもらった実例も出てくるので、自分で使っているような感覚で読み進められる。
また、質問の仕方や利用できる分野も実例を挙げながら示している。とくに、権利侵害や犯罪に利用される可能性についてもきちんと指摘してある。
例えば、仕事などで利用する際に、固有名詞と住所や社外秘のプロジェクトなどを質問に入れてしまうと、ChatGPTはその情報を取り込んでほかの利用者との対話で使ってしまうこともあるという。いったん入力したら削除はできないというから、ここは重要なところだ。仮の名前などを入力しておいて、生成された文章を修正することなどのアドバイスも載っている。
意外だったのは、ChatGPTが使う情報は限られたデータに基づいているということだった。ChatGPTに利用されているGPT-3.5というAIモデルの場合、2011年から2022年初頭のデータで学習しているという。だから、2010年以前のデータや直近のデータは反映されていない。普通に検索して出てくる情報でもChatGPTは拾わないことがあるというわけだ。ここからChatGPTは「平気で嘘をつく」という理由の一端も見えてくる。
とはいえ、そうした限界もそのうち改善されるだろうから、利用しない手はない。ある意味で、有能な助手と使い勝手のいい図書館を同時に手に入れたと思えばいいかも知れない。
目次
Chapter1 ブレイクスルーを起こした対話型AI
Chapter2 ChatGPTと会話してみよう
Chapter3 対話型AIはどんな技術で成り立っている?
Chapter4 ビジネス活用の事例とポテンシャル
Chapter5 Generative AIとの付き合い方
■古川渉一さんプロフィール
ふるかわ・しょういち/1992年鹿児島生まれ。東京大学工学部卒業。株式会社デジタルレシピ取締役CTO。学生時代にAI研究を行う松尾研究室に所属したことをきっかけにインターネットに興味を持ち、大学生向けイベント紹介サービス「facevent」を立ち上げ、延べ30万人の大学生に利用される。その後、国内No.1 Twitter管理ツール「SocialDog」など複数のスタートアップを経て現職。デジタルレシピでは事前登録者数6,000人を超えた、パワーポイントからWebサイトを作る「Slideflow」の立ち上げを経て、現在はAIライティングアシスタント「Catchy(キャッチー)」の事業責任者。CatchyはOpenAI社が提供するテキスト生成AI「GPT-3」を活用した国内向けサービスとして、リリース後半年間でユーザー数4万人を超える。事業戦略、プロダクト開発、マーケティング、AIのビジネス活用など幅広い領域に知見を持ち、0から事業を垂直に立ち上げることを得意とする。
■酒井麻里子さんプロフィール
さかい・まりこ/IT分野を中心に、スマホ、PC、ガジェットなどのアイテムレビューや、企業DXの取材、業界・技術関連の解説記事などを手がける。noteでは、趣味で集めているプログラミングロボットの話題なども発信。テレワーク×メタバースの可能性を考えるWEBマガジン『Zat's VR』運営。株式会社ウレルブン代表。
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