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「鶏むね肉」のパサつかない焼き方 本来の柔らかさを残すフレンチレシピ

ル・マンジュ・トゥー 谷 昇シェフのビストロ流 完全レシピ

 2023年5月27日、フレンチシェフ・谷昇さんのレシピ集『ル・マンジュ・トゥー 谷昇シェフのビストロ流 完全レシピ』(世界文化社)が発売された。

 本書は、プロアマいずれからも支持を集める谷さんの集大成的な1冊。今回はその中から、「鶏むね肉の香草焼き」の調理法を紹介する。

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違う身質が同居しているから、分けて焼く

 鶏むね肉は、ももと比べるとあまり動かさない部位なので、肉質が柔らかくてしっとりしている。筋がほとんどない。ところが、この柔らかさは適当に焼くと失われてしまう。素材の味を残すために必要なのは、「分けて焼くこと」だ。

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 鶏むね肉は、1枚の中でも、左右で身質が違う。左右で繊維の入り方が違うため、大きいほうは繊維が細くて同じ方向に整然と入っており、食感がとてもデリケート。小さいほう (抱き身)は繊維の入る方向がバラバラだから、食感がザクザクして粗い。そのため、左右を別々に焼かなければ上手く調理できないのだという。

 具体的にはどうすればいいのか。鶏むね肉は、大きい身と小さい身を時間差でフライパンに入れて焼く。香草焼きの材料は、2人分で、鶏むね肉(1枚330g)2枚、塩6g、油大さじ2、にんにく (皮つき)4かけ、ローズマリー2~3枝、タイム適量、ローリエ10枚ほど。これを直径24cmのフライパンで原則通りに焼けば、 肉の細胞膜が壊れずに水分を内にとどめることができる。その水分が膨張して、次第にコロンと丸みを帯びて、肉は焼く前よりも大きくなるという。

 理想の焼き上がりは、焼く前の素材の質をそのまま生かした、柔らかくてジューシーな状態。ナイフで切ると、鶏がもともと持っていた水分が断面から透明な滴となってポタポタと落ちる。この肉汁は絶品なので、ソースのようにしてつけて、余すところなく食べるのがオススメだという。

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【目次】
はじめに おいしい料理は真の幸福の基礎となる  誰でも料理がおいしくできる、いくつかのヒント

Chapitre 1●直伝 フライパンひとつでフレンチ
基本レッスン・おいしく「焼く」ための5つのコツ/鶏むね肉の香草焼き/ポークソテー/ビーフステーキ/真鯛のポワレ/ローストビーフ ほか

Chapitre 2●野菜と卵 日常のおいしさを極める
ミックスサラダ/にんじんのラペ/にんじんのポタージュ/ほうれん草のソテー/パプリカのムース・トマトのムース/プレーンオムレツ/スクランブルエッグ/ポーチドエッグ ほか

Chapitre 3●誰もが愛する洋食 ビストロ流
ハンバーグ/オムライス/欧風ビーフカレー/シーフードマカロニグラタン/ロールキャベツ/クラムチャウダー/海老フライ/かにクリームコロッケ/ポテトサラダ ほか

Chapitre 4●ビストロ流ベーシックフレンチ
オニオングラタンスープ/ラタトゥイユ/グリーンアスパラガスのソテー/アッシ・パルマンティエ/トラディショナルキッシュ/エスカベッシュ/帆立のポワレ/かれいのムニエル/クスクス/ビーフストロガノフ/簡単ソーセージ/鶏もも肉のコンフィ ほか

Chapitre 5●絶品煮込み 伝統料理の底力
基本レッスン・おいしく「煮る」ための5つのコツ/ポトフ/鶏肉のクリームシチュー/塩豚のポテ/ブッフ・ブルギニヨン/ブイヤベース/グーラッシュ ほか

Chapitre 6●味わい深めるソースとコンディマン
・乳化のソース
[ソース・ヴィネグレット]舌平目のムニエル/ゆで豚と葉野菜のサラダ/フライドチキン
[ソース・マヨネーズ]ウッフ・マヨネーズ/バナナとりんごのサラダ
[ソース・オランデーズ]ゆでホワイトアスパラガス/豆腐のグラタン ほか
・野菜のソース
[クーリ・ド・トマト]トマトサラダ/海老の網焼き
[ソース・ピストゥ]グレープフルーツのサラダ/秋刀魚とりんごのマリネ
[ソース・トマト]なすと玉ねぎの軽い煮込み/仔羊ロースの香草焼き ほか
・旨味のソース
[ソース・タプナード]豚ときのこのタルティーヌ/鴨胸肉のロースト
[ソース・バルサミコ]焼き野菜/豚もも肉と根菜の炒め/コートレット ほか
・白いソース
[ソース・ヴァン・ブラン]鱈のヴァプール/たらば蟹のヴァン・ブラン
[ソース・ベシャメル]コンテ・チーズと生ハムのクレープ ほか
・その他のコンディマン
ハーブピュレ/にんにくオイル/セミドライトマト/シトロン・サレ/にんにくと緑オリーブのコンフィ
基本のテクニック
ルー・ブラン/ブール・ノワゼット(焦がしバター)/ミロワール/野菜の下処理
Colonne●谷シェフのキッチン
調理道具とルールなど/基本の調味料/香りの調味料/コクと旨みの調味料

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■谷昇さんプロフィール
たに・のぼる/1952年8月4日生まれ。東京都出身。血液型はA型。アンドレ・パッション氏率いる六本木「イル・ド・フランス」でフレンチの世界に入る。24歳で渡仏。帰国後レストランのシェフや調理師学校講師を経て、37歳で再びフランスへ。アルザスの3つ星レストラン「クロコディル」や2つ星レストラン「シリンガー」などで修業をする。帰国後は「オー・シザーブル」などでシェフを務めたあと、94 年「ル・マンジュ・トゥー」のオーナーシェフに。2006 年に同店改装リニューアル。著書に『素描(デッサン)するフランス料理』『ル・マンジュ・トゥーの全仕事』(柴田書店)、『ル・マンジュ・トゥー 谷昇シェフの ビストロ流ベーシック・レシピ』『ビストロ流 谷昇シェフの スープと煮込み』(世界文化社)など。2012 年、辻静雄食文化賞専門技術者賞を受賞。


※画像提供:世界文化ホールディングス

 
  • 書名 ル・マンジュ・トゥー 谷 昇シェフのビストロ流 完全レシピ
  • 監修・編集・著者名谷昇 (著)
  • 出版社名世界文化社
  • 出版年月日2023年5月27日
  • 定価2,750円(税込)
  • 判型・ページ数B5変形判・240ページ
  • ISBN9784418233052

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