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SNSも危ない...とくに女性が陥りやすい「インポスター症候群」

本当の自分を見失いかけている人に知ってほしい インポスター症候群

「自分に自信が持てない......」
「周りから期待されることが重荷で息苦しい......」
「本当はたいした人間でないと、いつ悟られるか不安......」

 実績や仕事ぶりを認められ、周りの人から評価されても「自分の実力ではない」「周りのおかげ」「運が良かっただけ」「次もうまくいくとは限らない」などと捉え、自分に自信を持てず、自分を肯定できない――。そんな人が陥っている可能性が高いのが「インポスター症候群(impostor syndrome)」だ。

 今回は、2023年7月13日に発売される公認心理師・小高千枝さんの新著『本当の自分を見失いかけている人に知ってほしい インポスター症候群』(法研)から、インポスター症候群についての簡単な説明を紹介する。

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自分を過小評価してしまい、肯定することができない

「インポスター症候群」とは、自分のことを過小評価し、そんな自分を評価してくれる周りの人に対して、騙しているような感覚に陥ってしまう心理傾向のこと。日本ではまだあまり知られていないが、初めて提唱されたのは1978年で、俳優のトム・ハンクスやエマ・ワトソンなど、海外ではインポスター症候群に苦しんだ経験があることを表明している著名人が多く存在する。

「70%の人が人生で1度は経験する」という研究報告もあり、誰もが陥る可能性があるものだが、なかでも「謙遜を美徳」と捉えがちな日本人は、インポスター症候群に陥りやすい環境にあるという。

女性の社会進出を阻むもの

 インポスター症候群は、性別に関係なく誰でも陥る可能性があるが、もともとは「高い業績を上げた女性が陥る現象」として研究されたものだった。とくに聡明で有能な女性や高いキャリアを築いている女性、専門職の女性などに多く見られる傾向があることから、女性の社会進出を阻みかねないものとしても注目されているという。女性管理職の比率向上が求められている中、インポスター症候群について理解を深めておくことは、企業の人事労務の観点からも重要だ。

 また、SNSの普及により、まったく無名だった人が、一気に注目を集めて有名になることが多くなった。しかし、こうした激しい環境の変化に身を置くと、自分がその注目に値する確信を得ることができず、自分を見失ってしまいがちになるとされる。

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【目次】

第1部 インポスター症候群の理解
まずは知ることからスタート ― インポスター症候群について
●インポスター症候群とは?
●本当の自分は違うのに......その感覚が苦しめる
●高い業績をあげている女性が陥るものとして注目された
●海外では多くのセレブリティがインポスター症候群を告白
●自分がインポスター症候群だと感じる人はたくさんいる

SNS時代の落とし穴 ― SNSはインポスター症候群にも大きく影響
●インポスター症候群に陥りやすいSNS時代
●SNSの普及により簡単に立場が押し上げられるようになった
●なぜSNSによってインポスター症候群に陥りやすくなるか
・偽りの自分を演じ続けなければならない
・リアルな自分とのギャップが自分を否定的にしてしまう
・人気を維持しようと必死になっているうちに自分を見失う
●等身大の自分とかけ離れた成長は不一致を生み出す
●簡単に手に入るものは簡単に離れていく
●面倒なことを回避しやすくなったことの影響

どうなってしまう? ― インポスター症候群の状態を知る
●インポスター症候群に陥ってしまったとき
・インポスター症候群に陥ったときに見られがちなこと
●常に不安の塊のようなものが、のしかかっている状態
●本心から自分を肯定することができない
●こんなサインがあったら注意
・気をつけたいサイン
●元気がなくなったり、体の弱いところに不調が出たりする
【Column】インポスター症候群は精神疾患ではない

なぜなってしまう? ― インポスター症候群の要因を知る
●性格的に陥りやすい人はいるが、誰もが陥る可能性がある
●インポスター症候群に陥りやすい背景 ~ 心理編
・成長、進化することへの抵抗感
・周囲からの嫉妬、妬み、ハラスメントへの恐怖
・孤独になることへの恐怖
・仕事量の増加やスキルアップへの不安、高度な業務への抵抗感
・仕事と生活のバランスやロールモデルがないことから覚える抵抗感
●インポスター症候群に陥りやすい背景 ~ 社会・文化編
・周囲との比較や周囲と同じように振舞うことを求められてきた教育
・自分の成功より他者やチーム・組織を尊重する自己犠牲的な精神
・謙虚さや奥ゆかしさが美徳とみなされる道徳観
・社会的なジェンダー観の影響
・アファーマティブアクションといった社会的な措置
●体の健康状態も大きく影響する
【Column】自信がないのは性格傾向の影響ということもある

第2部 インポスター症候群の克服
自分を知ることが克服の第一歩 ― 本当の自分を見失わないことが大切
●心を構造化すると楽に生きられるようになる
●自分をもっと理解するために知っておきたい3つの理論
・マズローの欲求5段階説
・人の性格の4層構造
・体癖論
【Column】フォーマルとインフォーマルを意識する

自信について理解を深める ― インポスター症候群克服のキーワード
●自信の形成にも関わる「自尊心」と「承認欲求」の関係
●ふたつの「じりつ」と「自己効力感」が自信に繋がる
●自信は「しぐさ」などにも表れる
●大切なのは素の自分が自信を持てるようになること
【Column】自分のことを的確に判断するのは難しいこと

インポスター症候群を克服するために ― 自己肯定感を高めることが克服の道
●居場所を見失っていたら要注意
●凝り固まった気持ちをほぐす心理学のメソッド
・人生脚本の見つめ直し
・リフレーミング
・メタ認知コントロール
●何気ない言葉にも注意すべきことが潜んでいる
【Column】ネガティブな感情に気づいたら不一致を見つけて

日頃から心掛けておきたいこと ― 心の不調を遠ざけるために
●自己解放して素の自分に戻る時間を持つ
●身体的な負担もメンタルに影響を及ぼす
●重要な判断をするときは自分の心身の状態を意識しよう
【Column】専門家に相談するときのポイント

インポスター症候群の人と接するとき ― 上手に向き合い自己承認を促す
●受容することと共感することが大切
●自己承認を促すようにする
【Column】目標と目的を上手に立てるコツ

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■小高千枝さんプロフィール
おだか・ちえ/メンタルヘルスケア&マネジメントサロン代表・公認心理師。絵本作家になりたかった夢と、人格形成における人間の心に触れたいとの思いから幼稚園教諭として従事した後、一般企業にて人事、秘書、キャリアカウンセラーを経験し、人に寄り添うことをキーワードに社会経験を積む。同世代の女性の気持ちに寄り添うカウンセリングを中心に、メンタルケアの分野の幅を広げ、多くの女性が悩む男女関係、モラルハラスメント、DV、ダイエット依存、対人コミュニケーションなどの個人カウンセリング、企業における自己実現やセルフマネジメントのサポート、ウェルビーイング、メンタルトレーニングなどを行う。著書に『心理カウンセラーが教える 本当の自分に目覚める体癖論』(主婦と生活社)など。


※画像提供:法研

  • 書名 本当の自分を見失いかけている人に知ってほしい インポスター症候群
  • 監修・編集・著者名小高 千枝 著
  • 出版社名法研
  • 出版年月日2023年7月13日
  • 定価1,870円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・352ページ
  • ISBN9784865139242

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