2023年8月30日、東京大学広報室編集による『素朴な疑問VS東大 「なぜ?」から始まる学術入門』(KADOKAWA)が発売された。
本書は、言われてみれば気になる41の質問に東京大学の教授陣が学問の視点から答えるもの。老化に食べ物、魚類に植物、日用品から言葉の問題まで、私たちが暮らしの中で感じる疑問をリストアップ。その分野に詳しい学内の先生が、各々の専門分野の観点から疑問に答えている。
たとえば、「どうして疲れると眠たくなるの?」という疑問に対しては、大学院医学系研究科教授の上田泰己さんが回答している。ヒトの眠気についてはもともと、一つ一つの細胞に2時間周期で時を刻む分子(体内時計)があり、それらと他の神経細胞が連携して時刻合わせをすることで正確な時を刻み、地球の自転周期に基づいて眠くなると説明されていた。
しかしこれでは、「なぜ夜に眠くなるのか」の説明にはなっても、眠気そのものの説明にはなっていない。そこで上田さんら研究者は、マウス実験などで眠気の直接的な原因を探求し、結果、眠気の正体がカルシウムであることを特定した。詳しくは本書に譲るが、昼に何かを学んだりすることで興奮した神経細胞が、カルシウムを取り込んで鎮静化し、夜によく眠れるようになるのだそうだ。
このほか、「現代アートはどうして難しいの?」「歳を取るとどうして白髪や薄毛になるの?」「温暖化が進むと日本の梅雨はどうなるの?」など、わかるようでわからない疑問が満載。なんとなく知った気でいるけど、いざ聞かれてみるとはっきり答えられない。そんな身近な疑問を足がかりに、研究者の世界を覗くことができる1冊だ。
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