9月12日に放送を終えたドラマ「18/40~ふたりなら夢も恋も~」(TBS)。未婚のシングルマザーとなった18歳の大学生・仲川有栖を福原遥さんが、結婚より仕事を優先してきたアラフォーの成瀬瞳子を深田恭子さんが演じた。
ドラマの初回で、瞳子は産婦人科医の親友・薫から子宮内膜症と診断され、卵巣機能が低下していて妊娠しづらいことを告げられる。仕事も結婚も出産も全部「できる」と思っていた瞳子にとって、それは青天の霹靂だった。
瞳子のように、「いつか子どもを産みたいけど、いまはまだ......」「40歳くらいまでなら産めるだろう」となんとなく思っている女性に読んでほしいのが、産婦人科専門医、仲栄美子さんの著書『結婚していない。けど、いつか子どもが欲しい人が今できること』(ダイヤモンド社)だ。
仲さん自身も不妊治療の経験者だ。30代前半までは産婦人科医として早く一人前になろうと仕事に没頭し、35歳で結婚。夫婦生活は順調だったが、1年経っても妊娠しなかった。1年間、避妊をせずに夫婦生活をして妊娠しなければ「不妊」の定義に当てはまる。産婦人科医として日々、不妊に悩む人々の相談に乗っていたのに、「まさか自分が......」とショックを受けた。
不妊治療専門クリニックを受診すると、子宮内膜に子宮筋腫があると診断され、手術をすることに。そうこうしている間に時は過ぎ、本格的に不妊治療を始められた時には38歳になっていた。2年間治療を行ったが、仲さんの願いはかなわなかった。
やはり、35歳を超えての妊活は厳しい闘いなのだと身をもって実感したのです。
もし、子宮筋腫さえなければ話は違っていたかもしれない――。
(「はじめに」より)
「もっと早く気づいていれば」という後悔から、自分と同じつらい思いをする人が減るようにと本書を執筆したという。
35歳を過ぎると卵巣が老化し始め、質の良い卵子を排卵することが難しくなる。そして、仲さんや瞳子のように、年齢だけでなく子宮の病気が原因で妊娠しづらくなることもある。
では実際、子宮内膜症や子宮筋腫はどの程度、不妊につながりやすいのだろうか。
本書によれば、子宮内膜症は、子宮内膜をつくる組織が、何らかの理由で、本来あるべき子宮の内側以外の場所で発育してしまう病気のことを指す。放置すると卵巣機能の低下につながり、妊娠できても流産・早産になることもある。「不妊症になる確率は50%」とある。
一方、子宮筋腫は子宮壁に「こぶ」ができる病気で、30歳以上の女性の3人に1人は持っていると言われており、子宮筋腫があっても妊娠する人もいるが、問題は「できる場所」にある。受精卵が着床する部分に子宮筋腫ができてしまうと、まったく妊娠できない場合もあるという。
ほかにも、「不妊につながる病気」として卵巣嚢腫や子宮頸がん、子宮体がん、性感染症などが挙げられている。詳しい説明は本書に譲るが、いずれも早めに発見し、治療を行うことが大切だ。月経が重い、PMS(月経前症候群)がある、月経が来ないなどは病気のサイン。「いつものことだから」と放置せず、早めに婦人科を受診しよう。ちなみに仲さんは、婦人科で「普通」とされている月経の状態をていねいに記している。ここでは、月経痛の「普通」を知って驚いた、とだけ書いておく。ぜひ、自身の状態を確認してほしい。
本書は「いつまで産める?」「なぜ、妊娠しづらくなる?」「婦人科に行く」「卵子を守る生活習慣」「卵巣を老化させない食事」の5章立て。不妊症の基礎知識を始め、卵巣の機能を保ち、卵子の老化のペースを遅らせるための生活習慣や食事まで、「いつか産みたい」と思っている人のための情報が一冊に集約されている。
結婚しても「しばらくは2人の時間を楽しみたい」と考える方もいるだろう。まして結婚前から妊活を始める人は少ない。しかしそれでは、「気がついたら手遅れになっていた」ということにもなりかねない。本書には、「卵巣が年齢以上に若返ることはない」という厳しい現実がはっきりと書かれている。結婚していようといまいと、今できることから始めることを、仲さんは強く勧めている。ぼんやりと「いつか子どもを」という未来予想図を描きながら、今の自分にはまだ遠い話だと思っている女性にこそ、出合ってほしい一冊。
■仲 栄美子さんプロフィール
なか・えみこ/産婦人科専門医、女性のヘルスケアアドバイザー、骨盤底筋ヨガ・産後ヨガ・ペインケアヨガインストラクター、MAA(メディカルアロマアンチエイジング研究所)認定メディカルアロマプラクティショナー、MAA認定メディカルアロマホルモンアドバイザー
2001年埼玉医科大学卒業後、同大学総合医療センター産婦人科勤務。2008年より実家の産婦人科クリニックである「たかき医院」に勤務。産婦人科を中心とした地域医療に従事し、これまでに5000人以上の出産に立ち会ってきた。呼吸法、ヨガ、瞑想、整体、アロマなど、女性の体を健康に保つためのさまざまな提案も好評。若年層に正しい知識を伝えるため、日々の診療のかたわら小中高校を回り、これまでに約200校で2万人への性教育講演活動を行う。
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