誰にも影響を及ぼすことはないけれど。
僕にとっては一大事......。
青木ぼんろさんの『恐らく誰の人生にも影響を及ぼすことはない僕のサラリーマン生活』(KADOKAWA)は、「誰かの人生を左右するほどの影響力はないけれど、自分にとっては一大事」な26のあるあるエピソードを収録したシュールで笑えるコミックエッセイ。
青木さんは、サラリーマン兼マンガ家。サラリーマン生活を送るなかで自身に降りかかってくるさまざまな災難、おかしな出来事、理不尽を、さらりとしたタッチで描いている。
ある日、青木さんが満員電車の車内にいたときのこと。ただでさえギチギチだというのに、駆け込み乗車をする乗客が多くてドアが全然閉まらない。車掌は「閉めます! 閉めます! 離れて!」と連呼。青木さんも「いくらなんでも駆け込みすぎだろ...」とそわそわし始めた、そのとき。
おじさん 「早く閉めろ 車掌ぉおおお さっさと閉めねぇと コイツらワラワラ 乗ってくんぞぉおお!! 車掌! もうもたねーぞ!」
青木 「何が!? いちいち言動がゾンビ映画だな...」
隣に立っていたおじさんが、なぜか車掌に必死のアピール。一体何が「もうもたない」のか。ようやくドアが閉まったとき、言動がいちいちゾンビ映画風おじさんも満足げ。「...でもゾンビ映画なら 序盤でゾンビに噛まれそうだな」と、青木さんは思うのだった。
ある日、青木さんがそろそろ帰ろうとしていたときのこと。「青木くーん 今から飲み行かない?」と部長に声をかけられた。楽しそうだなと思ってついていくと、乾杯と同時に説教が始まった。それから3時間。誘いを断らなかったことが悔やまれた。
そこへ「間もなく閉店のため お会計をお願いします」と、店員が救世主のごとく現れた。しかし......。
青木 「永遠(とわ)くらい長かった...」
部長 「8400円か... じゃあ まあ 4000円でいいよ」
青木 「...... 『でいいよ』の 額じゃない...」
そう思っても、青木さんは決して口には出さないのだった。このほか、公共交通機関の「席ガチャ」、昼休みに訪ねてくるやたらと馴れ馴れしい営業、テクノロジー導入に断固反対するアナログ上司、どう見てもLサイズなのにMサイズをしきりに勧めてくるアパレル店員、スープ春雨にハシではなくスプーンをつけてくれたコンビニのおばちゃん......など、リアルなエピソードが満載。
毎度静かに衝撃を受ける青木さんが、なんともいい味を出している。「えっ、これって私のことを描いてる?」と思う衝撃の共感度! ついつい「それな」と声に出してしまう、とにかく笑える1冊だ。
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