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「話し方」より「考え方」。今年いちばん売れたコミュニケーション本

頭のいい人が話す前に考えていること

「2023年 年間ベストセラー」(集計期間=2022年11月22日~2023年11月21日)が、日販から発表された。2023年4月に刊行された『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)が「単行本ビジネス」第1位となった。

 著者は、コンサル歴22年で3000社1万人と対峙してきた安達裕哉さん。話し方のスキルだけでは、人の心を動かすことはできない。安達さんがコンサルで叩き込まれたのは、人の心を動かす思考の「質」の高め方だったという。

 本書では、コンサルの経験から得た知見を「7つの黄金法則」と「5つの思考法」に凝縮。「頭のいい人」が何をどう考えているのかを明確にし、誰でもできる「話すたびに頭がよくなる思考術」を伝授している。

『頭のいい人が話す前に考えていること』安達裕哉 著(ダイヤモンド社)
『頭のいい人が話す前に考えていること』安達裕哉 著(ダイヤモンド社)

 本書は41万部を突破。版元のダイヤモンド社によると、ビジネス書の購買層のほとんどを男性が占めるなか、本書の購買層は約半分が女性だという。性別も世代も業種も問わず、さまざまな読者を取り込んで部数を伸ばしている。

子どものころ、「ちゃんと考えてから話して」と言われたことはないだろうか。
もしくは、上司に「ちゃんと考えた?」と言われたり、部下の話を聞いて「こいつちゃんと考えたか?」と思ったりしたことはないだろうか。
では、「ちゃんと考える」の"ちゃんと"とは具体的にどういうことか、教わったこと、教えたことはあるだろうか............?
(本書より)

うわべのスキルだけではダメ

 本当に「頭のいい人」は「大切な人を大切にできる人」だと、安達さんは言う。これまでの本にありがちな、うわべの「話し方の技術」だけを学んでも、本当に「頭のいい人」になることはできない。

 大切なのは、話す前にしっかりと考え、相手のことを思いやること。そうした「頭のいい人の思考法」を学び、ちゃんと考える力=思考の質を高め、「知性」と「信頼」を同時に手に入れる。すると、誰でも「頭のいい人」になることができるという。

話す前にチェックするだけ! 話すたびにに頭がよくなるシート
話す前にチェックするだけ! 話すたびにに頭がよくなるシート

話す前に立ち止まれるか

 プレゼン、会議、営業、面接、デートの会話もすべて、結果は話す前に決まっていて、話す前にどれだけ立ち止まれるかで「頭のよさ」は決まるという。ここでは、「頭が悪くなる瞬間、頭がよくなる時間」を少し見てみよう。

 安達さんが、北野武監督の映画「アウトレイジ」を観たときのこと。殺されてしまう人間には、ある共通点があることに気づいた。それは、"感情的な人"。「感情的になったら、その時点で負け」というのは、コンサルで学んだ「最重要事項」の1つでもあったという。

 安達さんは若手のころ、ある企業の「改善活動」を見に行ったことがある。1人ずつ「今週の報告と、来週の目標」を発表していくのだが、ある役員が「発表するときの声」に異常なこだわりを持っていた。その役員の気に障った新人がこっぴどく怒られていたとき、リーダークラスの1人が見かねて、「もうそれくらいでいいでしょう!」と大声で役員を制した。

 社長が仲裁に入り、役員に反省を促すとともに、怒鳴ったリーダーに言った。「冷静さを失うとは何事だ。そのようなことではリーダーを任せられない」――。正義感から新人をかばったのだろうが、そのリーダーは称賛されるどころか、周囲から冷ややかな目で見られるようになってしまったという。

「頭のいい人/悪い人」の回答例は? ユニークな問題で紹介
「頭のいい人/悪い人」の回答例は? ユニークな問題で紹介

 本書の言う「頭のいい人」は、決してひとりよがりなものではなく、他者とのコミュニケーションにおける「頭のいい人」。ビジネスもプライベートも関係なく、人と接するうえで大切にしたい、「丁寧で知的なコミュニケーション力」が身につく1冊だ。


■目次
はじめに
「頭のいい人が考えていること」知っただけでは意味がない
本書で目指したのは読み返さなくていい本
第1部 頭のいい人が話す前に考えていること
「知性」と「信頼」を同時にもたらす7つの黄金法則
その1 頭が悪くなる瞬間、頭がよくなる時間
その2 頭のよさを決めるのは「だれ」だ?
その3 なぜ、コンサルは入社1年目でもその道30年の社長にアドバイスできるのか?
その4 頭のいい人は、論破しない
その5 「話し方」だけうまくなるな
その6 知識が「知性」に変わるとき
その7 承認欲求をコントロールできる者がコミュニケーションの強者になれる
第2部 一気に頭のいい人になる思考の深め方
「知性」と「信頼」を同時にもたらす5つの思考法
第1章 まずは、バカな話し方をやめる 「客観視」の思考法
第2章 なぜ、頭のいい人の話はわかりやすいのか? 「整理」の思考法
第3章 ちゃんと考える前に、ちゃんと聞こう 「傾聴」の思考法
第4章 深く聞く技術と教わる技術 「質問」の思考法
第5章 最後に言葉にしてインパクトを残す 「言語化」の思考法
おわりに
賢くあり続けるための読書リスト
参考文献

安達裕哉さん
安達裕哉さん

■安達裕哉さんプロフィール
あだち・ゆうや/ティネクト株式会社 代表取締役、1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、理系研究職の道を諦め、給料が少し高いという理由でデロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。また、個人ブログとして始めた「Books&Apps」が"本質的でためになる"と話題になり、今では累計1億2000万PVを誇る知る人ぞ知るビジネスメディアに。


※画像提供:ダイヤモンド社

 
  • 書名 頭のいい人が話す前に考えていること
  • 監修・編集・著者名安達 裕哉 著
  • 出版社名ダイヤモンド社
  • 出版年月日2023年4月19日
  • 定価1,650円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・336ページ
  • ISBN9784478116692

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