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国宝「風神雷神」の目と歯が光る デジタル復元で日本美術を再発見

はじめから国宝、なんてないのだ。

 2023年12月20日、小林泰三さんの著書『はじめから国宝、なんてないのだ。 感性をひらいて日本美術を鑑賞する』(光文社)が発売された。

『はじめから国宝、なんてないのだ。 感性をひらいて日本美術を鑑賞する』小林泰三 著(光文社)
『はじめから国宝、なんてないのだ。 感性をひらいて日本美術を鑑賞する』小林泰三 著(光文社)

 本書は、日本美術のデジタル復元師である著者が、「制作された当時の色を、制作された当時と同じ方法(環境)で鑑賞する」というアプローチを通して、国宝の新しい鑑賞法を提案するもの。国宝との距離がグッと近づく、これまでになかった入門書だ。

 たとえば、国宝「風神雷神図屏風」(俵屋宗達/江戸時代)を、現代の技術を用いてデジタル復元し制作された当時の色に戻すと、鮮やかで生き生きとした状態に。

 さらに、屏風に仕立てて間近で鑑賞できるようにした上で、昔の日本家屋に差し込んでくる夕陽の光を再現して鑑賞すると、光を反射しない顔料を使った箇所(風神雷神)のシルエットは暗く、一方で背景の金は柔らかく輝きだし、浮遊感が生まれるという。

デジタル復元前
デジタル復元前
デジタル復元後
デジタル復元後

 さらに、電灯のない時代の鑑賞体験を再現するため、夜にろうそくを手にとって雷神の顔に近づけると、目と歯がギラリと鋭く光りだす──。本書では、このような国宝をいきいきと鑑賞できるアプローチが多数提案されている。

 また、本書に掲載されている、漫画家・新月ゆきさんによる体験漫画は、Xで1.3万いいね、2200件以上リポストされ、話題を呼んだ。作家のいとうせいこうさんも絶賛する、新しい美術の見方がわかる1冊だ。

【目次】
■第1章 国宝をべたべたさわろう
今の美術展と鑑賞のイメージ/誰もが知っている名作の知られていないお話/昔は触っていた証拠/触れる時代が、再びやってきた!/知ってる? 神々の本性
■第2章 これはもうアニメでしょ
こうやって絵巻物は楽しむ/平安のエレクトリカルパレード/"ああ無常"すぎるメッセージ/見よ、これが絵巻物のポテンシャル/もうこれは映画でしょ
■第3章 秀吉時代の"おたがいさま"事情
醍醐の花見ってどんだけやねん/豪華絢爛、淀殿の小袖復元!/え、だけど、もしかして/そういえば、絵画も、漆芸も.../これが、秀吉時代の空気なんだな~
■第4章 やっぱり怖い? 超有名なお墓のお話
居心地いいぞ 飛鳥のカプセルホテル/皇子、ピクニックに参ろうぞ/万葉人の時間感覚/スキャンダルは、昔からみんな大好き/簡単に時空を超える万葉人
コラム①国宝、はありがたいものではない
コラム②子供こそ、日本美術に触れてほしい
コラム③大人は"見立て"てタイムトラベル


※画像提供:光文社

 
  • 書名 はじめから国宝、なんてないのだ。
  • サブタイトル感性をひらいて日本美術を鑑賞する
  • 監修・編集・著者名小林 泰三 著
  • 出版社名光文社
  • 出版年月日2023年12月20日
  • 定価1,760円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・200ページ
  • ISBN9784334101800

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