『12星座シリーズ』やフィガロジャポン「星のアドバイス」でおなじみの石井ゆかりさんがエッセイをしたためました。地上が闇に閉ざされはじめると、月はやさしいい光で、私たちを照らし始めます。そんな月にまつわる神話や哲学、科学をひも解き、深遠なる月の世界に私たちをいざなってくれます。
たとえば、月のもつ3つの「顔」。新月から上弦の膨らむ月、満月、そして下弦の欠けていく月。この3つの顔を、新しく生まれてくるアルテミス、満ちる豊穣の月のセレネ、欠けていく暗い月のヘカーテと3人の女神のイメージになぞらえることがあります。とても、メルヘンチックな世界にとんでいけそうです。
こんな記述もあります。
ウパニシャッドの世界では、月は「門」の役割を果たします。すなわち、死者の魂はまず月に至り、ここを通って、もう一度生まれ変わるものは地球に戻り、輪廻を終えたものは太陽に向かうのです。
月の世界は魅力的です。異世界へのとびらを開き、私たちへ警句を発してくれます。そして月がいつも満ち欠けし、変容していくのと同じように、私たちも変わっていくという事実を知らせてくれます。変わっていくのは、他者や外界であって、自分自身は変化しないと思いがちですが、決してそんなことはないのです。それを知ることで、私たち自身の心も見えてきます。占いとのつき合い方も、たとえば不吉な結果が出たとき、その視点を忘れてはならないでしょう。
最後に一言アドバイスを抜粋しておきます。
チャンスを待つとき、それはいつまで待てばいいのでしょうか。
次の新月・満月まで待ちましょう。
書名:月のとびら
著者:石井ゆかり
発売日:2013/9/30
定価:1,680円(税込)