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BTSも愛読する世界的ベストセラー。「もしもあの時......」と後悔している人へ。

ミッドナイト・ライブラリー

 「あなたには、やりなおしたい過去がありますか?」

 各国で記録的ベストセラーとなった小説『ミッドナイト・ライブラリー』(マット・ヘイグ 著)が、ついに日本上陸。ハーパーコリンズ・ジャパンより2月9日に刊行される。

 全英1位。世界43カ国で刊行。BTSのリアリティー番組「In the SOOP BTS ver.」では、V、JIN、RMをはじめとするBTSメンバーが読んだことで話題に。世界で読まれている、今最も注目の1冊。

 主人公のノーラは35歳。婚約者と別れ、飼い猫を亡くし、仕事をクビになり、話をする相手もいない。後悔の連続の人生。

 真夜中、どん底のノーラの前に現れたのは不思議な図書館だった。そこには彼女が"選ばなかった"人生の数々が――。

死の決意までのカウントダウン

 冒頭、ノーラが死を決意するまでのカウントダウンが始まる。

 27時間前、飼い猫の死を知らされる。9時間前、勤め先の楽器店店主からクビを宣告される。8時間前、昔のバンド仲間からバンドを辞めたことを責められる。5時間前、ピアノの教え子の母親からやめると言われる......。

 3時間前、ノーラの存在のすべてがすっかり後悔で軋んでいた。2時間前、ワインを飲みながら「私は人生に向いていなかったんだ」とはっきりとわかった。思い描いていた競泳選手、ミュージシャン、哲学者、氷河の研究者......何ひとつとしてなれなかった。

 「思えば行動のすべてが間違いだった。決断のすべてが災いを呼んだ。毎日ただただ、自分がなろうと思っていた自分自身の姿から遠ざかっていっただけだった。(中略)死ぬにはいいタイミングだ。そう決意していた」

真夜中の図書館

 0時00分00秒。ノーラは真夜中の図書館にいた。目の前に現れたのは、高校の図書室にいた司書のエルム夫人。父が死に、打ちのめされていたノーラに「いいこともちゃんとやってきますから」「きっと大丈夫」と言ってくれた人だった。

 さて、真夜中の図書館とは、一体どんなところなのか。自分の置かれた状況がさっぱり理解できずにいるノーラに、エルム夫人は説明する。

 「生と死の狭間には、図書館があるのです。この図書館の書架には涯(はて)がありません。そしてここにあるどの本もが、あるいはあなたが生きていたかもしれない人生へと誘(いざな)ってくれる。もしもあの時違う決断をしていたら物事はどれほど違っていたか。それを教えてくれるのです」

 真夜中の図書館にある本には、あったかもしれないノーラの人生が綴られていて、ここでなら、それらの人生を自分の目で確かめてみることができるという。ただ、1冊を除いて。

 それは『後悔の書』というもので、ノーラが35年間の人生で溜め込んできた後悔が余さず記されている。ノーラは『後悔の書』を見ながら、"もし違う選択をしていたら"と思う内容を選び、それに相応しい本(人生)を試していく。

秘めている可能性

 たとえば、元彼とパブをやっている人生。友人とオーストラリアに行っている人生。オリンピックの競泳の金メダリストになっている人生。北極圏で氷河の研究をやっている人生。ミュージシャンになってワールドツアーをやっている人生......。

 あったかもしれない人生の体験記が、なんとも壮大かつエキサイティングだ。注目される人生もそうでない人生も、裕福な人生もそうでない人生も......とにかく、たくさんの人生があった。

 「人生というものはみな、数百万という単位の決断でできています。極めて重大なものもあれば、逆に、まるっきり些細なものもある。けれど、たとえどんな決断でも違う形でやりなおせば、結果も自ずと変わってきます。(中略)あなたには、秘めている可能性と同じ数だけの、異なる人生があるのだ、ということです」

 もし心の底から生きたい人生が見つかったら、そこにとどまり続けることができるというが、ノーラは繰り返し、ある人生を体験しては真夜中の図書館に戻り、また違う人生を体験する。ノーラはどんな人生を求めているのか。その1冊を見つけることはできるのか。


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 「もしもあの時......」という後悔がない人はいないのでは。だからこそ、本作は世界中の人々の心を打つのだろう。

 「ただ一人の人間であればいい。(中略)生きているかぎり私たちは、いつどんな場面でも、驚くほど様々な"未来の可能性"を秘めているものだから」

 いくつもの、ずっと記憶にとどめておきたい言葉に出合った。「これよかったよ」と、読後すぐに伝えたくなった。ぜひ1人でも多くの人に、この幸福な読後感を味わってほしい。


■マット・ヘイグさんプロフィール
 1975年イギリスのシェフィールド生まれ。大学卒業後、マーケティング会社を経営するなど様々な職を経たのちに作家業に専念。フィクション・ノンフィクションを問わず多岐にわたるジャンルの作品を執筆し、その多くがベストセラーとなっている。"Shadow Forest"でネスレ子どもの本賞金賞を受賞。3作品がカーネギー賞候補作に挙げられている。本書"The Midnight Library"は世界43カ国で刊行され、全英1位を獲得。各国でロングセラーに。2020年Goodreads Choice Awardsフィクション部門を受賞した。

■浅倉卓弥さんプロフィール
 1966年札幌生まれ。作家・翻訳家。東京大学文学部卒業。2002年『四日間の奇蹟』で第1回『このミステリーがすごい!』大賞(金賞)を受賞。同作は映画化もされ、ミリオンセラーに。他の著作に『黄蝶舞う』(PHP研究所)など、訳書にウォリッツァー『天才作家の妻』(ハーパーコリンズ・ジャパン)ほか多数。


※画像提供:ハーパーコリンズ・ジャパン



 


  • 書名 ミッドナイト・ライブラリー
  • 監修・編集・著者名マット・ヘイグ 著、浅倉 卓弥 訳
  • 出版社名ハーパーコリンズ・ジャパン
  • 出版年月日2022年2月 9日
  • 定価1,980円(税込)
  • 判型・ページ数四六判・440ページ
  • ISBN9784596319067

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