2023年10月20日、精神科医・清水栄司さんの著者『認知行動療法でつくる 思考・感情・行動の好循環』(法研)が発売された。
本書は、認知行動療法の専門家である著者が、「不確実性不耐性」を解消して、脳と心が疲れきる悪循環を断ち切り、自分を肯定できるようになるための問題解決法と思考レッスンを紹介したもの。
変化のスピードが速い現代社会では、「こうすれば必ずうまくいく」という正解は、ないことのほうが多いもの。この現実、つまり「不確実性」への耐性がないと、先の読めない現代社会では不安が募り、ストレスがたまってしまうという。
一方で、現代社会では、楽しいこと、興味のあることに低コストでアクセスできるようになった。しかし、今度はその行動をコントロールすることが難しくなってしまい、ストレスを楽しいことで解消しようとすると、歯止めがきかず、かえって脳や心に問題が生じることも多いという。
本書では、このような問題への対処法の一つである「認知行動療法(CBT)」を紹介している。認知行動療法は、精神科診療で用いられる心理療法として有名で、ものの見方(認知)を修正し、より適応的な行動ができるよう働きかけるもの。
たとえば、一般的に「ネガティブシンキング」と呼ばれる幸せになりにくい思考ルートは、適応的でない行動につながりがちな「認知」の一種とされる。本書では、そんな「ネガティブシンキング」とは正反対の、適応的で幸せになりやすい、好循環を生み出す「認知」を身につけるための方法も紹介されている。
また、問題が解決しない時に自暴自棄にならないための、認知行動療法をベースにした実践的な問題解決法も紹介。マンガとイラストが多く使われているのでわかりやすい。ネガティブな悪循環から上手に抜け出すスキルを身につけるための一冊だ。
【もくじ】
マンガ 複雑化する世の中
はじめに
第1章 脳と心が疲れていませんか
心のゆとりを持てる思考法を身につけよう/現代社会は疲れやすい/不確実性---先が読めないストレス/意識して心を守ろう
第2章 注意すべき心の病気
注意すべき心の病気/注意したい依存/疲れやすい思考ルートに陥っていないか
第3章 幸せになりにくい思考ルート
思考にはくせがある/コラム 半分だけ水の入ったコップ/認知の偏りに気づくには?/心の疲れを増幅してしまう考え方のくせ
第4章 思考を柔軟に
認知行動療法をベースにしたバランス思考/今日からできる心の生活習慣改善/ポジティブ思考を練習しよう/柔軟な思考をさらに磨くレッスン
第5章 問題と向き合う力
RIBEYEを身につけよう/問題解決法/RIBEYEの進め方/ACT 受け入れるという試み/悪循環を断って、好循環につなげ、しなやかに生きる/心の柔軟さを大切に
■清水栄司さんプロフィール
しみず・えいじ/千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学教授、医学部附属病院認知行動療法センター長、子どものこころの発達教育研究センター長。精神科医。1965年山梨県生まれ。1990年千葉大学医学部卒業。千葉大学医学部附属病院精神神経科、プリンストン大学留学等を経て、現職。専門は認知行動療法。精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、公認心理師。『自分で治す社交不安症』『マンガでわかる アンガーコントロールガイド』など著書多数。
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