2023年10月25日、保護司・風間暁さんの著書『専門家と回復者に聞く 学校で教えてくれない本当の依存症』(合同出版)が発売された。監修は、精神科医の松本俊彦さんと、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表を務める田中紀子さん。
本書は、学校の薬物乱用防止教室では知ることができない「リアルな依存症」の話をまとめたもの。専門家や多くの依存症当事者・家族の協力のもと、「依存症から回復していく」とはどういうことかが丁寧に紹介されている。
本書が目指すのは、依存症の当事者を「困った人」として排除するのではなく、「困っている人」と捉えて、支援の手を差し伸べる社会。従来の「排除と分断の予防教育」とは一線を画す「包摂の予防教育」を学ぶことができる1冊だ。
【推薦コメント】
本書は、依存症についての無理解や誤解、そして偏見をひっくり返してくれる本です。とても分かりやすく、子どもたち向けに書かれていますが、大人が読んでも面白く、深いです。「大人だって、この部分は気づけていなかったでしょう」という著者のメッセージが伝わってきます。
ストーリー仕立てで会話を通して進んでいくので、とても読みやすく、この本を通して、依存症当事者との距離感がぐんと縮まります。学校関係者、保護者が一緒に読み進めていくことで、「依存症はとても身近なこと」「でも怖いとか、一方的にダメなことと決めつけるのではなく、いっしょに考えることが大切なんだ」と、子どもたちとの対話も広がることでしょう。
親子、学校で対話しながら読み進めていきたい一冊です。
川上康則(杉並区立済美養護学校主任教諭)
【もくじ】
1 依存症ってなんだろう? (アルコール/薬物/ギャンブル)
2 依存症からどうやって回復するの?
3 親の問題に振り回されている子どもたち
4 子どものうちからできる依存症予防
■風間暁さんプロフィール
かざま・あかつき/特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)社会対策部。ASK認定依存症予防教育アドバイザー。保護司。自らの経験をもとに、依存症と逆境的小児期体験の予防啓発と、依存症者や問題行動のある子ども・若者に対する差別と偏見を是正する講演や政策提言などを行なっている。2020年度「こころのバリアフリー賞」を個人受賞した。分担執筆に『「助けて」が言えない 子ども編』(松本俊彦編著、日本評論社、2023)など。
■松本俊彦さんプロフィール
まつもと・としひこ/精神科医。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長。横浜市立大学医学部附属病院精神科、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所司法精神医学研究部、同研究所自殺予防総合対策センターなどを経て、2015年より現職。著書に『自傷行為の理解と援助』(日本評論社、2009)『自分を傷つけずにはいられない』(講談社、2015)『もしも「死にたい」と言われたら』(中外医学社、2015)『薬物依存症』(ちくま新書、2018)『誰がために医師はいる』(みすず書房、2021)『世界一やさしい依存症入門』(河出書房新社、2021)他多数。訳書にターナー『自傷からの回復』(監修、みすず書房、2009)カンツィアン他『人はなぜ依存症になるのか』(星和書店、2013)他多数。
■田中紀子さんプロフィール
たなか・のりこ/公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表。競艇・カジノにハマったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代にわたる当事者家族の立場も経験。講演やイベントを通じて依存症という病気についての啓発活動や予防教育、依存症当事者やその家族に対する支援活動を行なっている。著書に『祖父・父・夫がギャンブル依存症!三代目ギャン妻の物語』(高文研、2015)『ギャンブル依存症』(角川新書、2015)『家族のためのギャンブル問題完全対応マニュアル』(アスク・ヒューマン・ケア、2021)などがある。
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