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乳がん治療の最新情報を国立がん研医師が詳しく解説 9人に1人がかかる病気の選択肢

『国立がん研究センターの乳がんの本 改訂新版』

 2024年1月10日、『国立がん研究センターの乳がんの本 改訂新版』(小学館)が発売された。監修は、国立がん研究センター中央病院・乳腺外科科長の首藤昭彦さん、同腫瘍内科科長の米盛勧さんらが担当した。

 本書は、2018年に刊行された『国立がん研究センターの乳がんの本』の改訂新版。最新の診療ガイドラインに基づいた治療法に加えて、アピアランス(外見の変化)ケアの情報が充実するなど、アップデートされた内容となっている。

非手術治療法も紹介

 女性の9人に1人がかかり、年に約10万人が診断されるという乳がん。その治療法は進歩がめざましく、体への負担が小さい手術や新しい薬などが次々に現れている。

 たとえば、針状の細い電極を早期のがん細胞のある部分に刺し、電磁波でがん細胞を焼き切る「ラジオ波熱焼灼(しょうしゃく)療法」は、2023年12月に保険適用の対象となった。他にも、ガスでがん細胞を凍らせて破壊する「非切除凍結療法」、超音波ビームでがん細胞を焼く「集束超音波治療」など、さまざまな治療法や新薬が紹介されている。

 しかし、新薬は承認された後に副作用がわかることがあり、どの治療法が好ましいかについても、情報が錯綜しがちとなる。インターネットで検索するとさまざまな情報があり、何を信じればよいかわからなくなっている人も多くいるという。

 そこで本書では、がんの専門家である国立がん研究センター中央病院に勤務する医師たちが監修を担当。患者本人や周囲の人びとが検査や治療法についてよく理解できるよう、乳がんについて、イラストや図をまじえて丁寧で信頼できる紹介がなされている。

【もくじ】
◆基礎知識
世界的に増えている乳がん/乳がんは乳腺にできるがん/女性ホルモンの分泌期間ががん発生に影響/罹患率は高いが死亡率は比較的低い
第1章 乳がんが疑われたら
検診/間違えやすい病気/診断がつくまで
第2章 乳がんの治療
治療のガイドライン/手術療法/薬物療法/放射線療法/遺伝性乳がん/新しい治療法
第3章 乳がん手術後の生活
後遺症と治療/リハビリテーション/日常生活で注意すること
第4章 乳がんの再発・転移
再発リスク/局所再発/遠隔転移/治療/向き合い方
第5章 心のケアと療養のこと
がんと診断されたら/病院の選び方/緩和ケア

■首藤昭彦さんプロフィール
すとう・あきひこ/国立がん研究センター中央病院・乳腺外科科長。乳腺専門医・指導医、日本外科学会専門医・指導医、米国癌治療学会(ASCO)Active member、マンモグラフィ精度管理中央委員会読影認定医、乳房再建エキスパンダー責任医師、日本乳癌学会評議員、聖マリアンナ医科大学客員教授、慶應義塾大学医学部客員講師。専門は乳がんに対する外科治療。低侵襲手術(内視鏡などを用いた身体に負担の少ない手術)や形成外科との連携による乳房再建などを行っている。担当書に『オンコロジークリニカルガイド 乳癌薬物療法 改訂2版』(編集、南山堂、2016年)ほか。

■米盛勧さんプロフィール
よねもり・かん/国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科科長/先端医療科併任/医薬品開発推進部部長/国際研究開発部門副部門長。日本内科学会総合内科専門医・日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・日本呼吸器学会呼吸器専門医。専門は、乳がん、婦人科がん、泌尿器がん、肉腫を含む希少がんの薬物療法。アジアを中心とした研究活動や国際がん診療に取り組んでいる。どんながんになっても不安のない希望をもてる世界を目標にがん領域の幅広い研究開発に取り組み、新薬の治療開発・治験を数多く担当している。


※画像提供:小学館

  • 書名 『国立がん研究センターの乳がんの本 改訂新版』
  • 監修・編集・著者名監修:首藤昭彦(国立がん研究センター中央病院 乳腺外科科長)、米盛勧(国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科科長)ほか
  • 出版社名小学館
  • 出版年月日2024年1月10日
  • 定価1,980円(税込)
  • 判型・ページ数A5判・176ページ
  • ISBN9784778035990

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