今、日本の子どもや若者たちの読解力の低下が問題になっている。
経済協力開発機構(OECD)が進めている学習到達度の国際的な調査「PISA」の2018年版の調査結果が昨年12月に公開され、全79の参加国・地域中15位と、前回調査の8位からランクを大きく下げたことは記憶に新しいだろう。
では「読解力」を育むにはどうすればいいのだろうか。「七田式教育」の主宰者であり、教育者の七田厚氏は著書『子どもの脳を刺激し、将来の選択肢を増やす「七田式」究極の読み聞かせ』(幻冬舎刊)の中で、幼児期からの「読み聞かせ」の効果について言及している。
絵本や児童文学などを、親が子どもに読んで聞かせてあげる「読み聞かせ」。一体どんな効果があるのだろうか。
「読解力」とは「読む力+理解する力」のこと。文章を読むことはできても、理解できていなければ、読解力とはいえない。しかし実はこの力は子どもにとって「高度なテクニック」だと七田氏は言う。そもそも読むことと理解する力はまったく別。その2つを同時に求められるため、読むことに集中してしまうと、理解が追い付かなくなるのだ。
そこで「読み聞かせ」だ。「読む」ことを代わりに親がやることで、内容を理解することだけに集中できる。
また、七田氏いわく、子どもは読んでもらえば2学年以上の理解力があるとされており、小学1年生でも3年生向けの内容までなら理解できる力が、平均的に備わっているという。幼い頃から読み聞かせをすることで理解力を上げることができれば、「教科書を読みながら理解する力」をすでに備えた状態で小学校に入学することができるのだ。
他にも「読み聞かせ」で期待できる効果がある。その一つが「自己肯定感」の向上だ。近年、自分らしい人生を生きていくために必要な力として取り上げられている「自己肯定感」。それが「読み聞かせ」を通じて育むことができるという。
その理由は、父親や母親が読み聞かせをすることで、「自分のことを受け入れてくれている」と感じられるから。「この本を読んで」と子どもが言い、親が「いいよ」と応える。それは自分の要求を親が受け入れてくれたということになり、愛情を感じるのだ。
これは子どもに弟や妹ができたときに特に有効だ。下の子に手を焼いてしまい、上の子の世話がなおざりになってしまう。そんなときに、上の子に読み聞かせをしてあげると、その時間は、上の子どもが親を独占できる。七田氏は子どもに「時間を割く」ということが大切だと指摘する。「時間を取ってくれた」が子どもに満足感を与えるのだ。
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本書では読み聞かせの力の他にも、読み聞かせを習慣にする方法、どんな本が読み聞かせに向いているのかといったことを説明している。さらに圧巻なのが、「子どもが喜ぶオススメ本63冊」だ。
ちょっとしたゲーム感覚で楽しめる『ぜったいにおしちゃダメ?』や、親子で一緒に読み進める参加型絵本『とらさんおねがいおきないで』、おでんがテーマのしかけ絵本『へんなおでん』など、近年刊行された絵本を中心に、幅広くピックアップされている。
親子のコミュニケーションになる「読み聞かせ」。絵本一冊あればできるので、ぜひ実践してみてほしい。
(新刊JP編集部)
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