ロシアに伝わる「おおきなかぶ」という昔話がある。
おじいさんが手塩にかけて育てたかぶが立派になりすぎて抜けなくなり、おばあさんを呼び、おばあさんが孫を呼び、孫が犬を呼び、とみんなで力を合わせてかぶを引き抜く話である。
こんなオーソドックスな昔話も、描く人が変われば斬新で笑えるものに一変する。
ギャグマンガの鬼才・漫☆画太郎(ガタロー☆マン)が、「悲劇は喜劇に、喜劇は超喜劇に!」というコンセプトで、世界中の昔話を独自の解釈を加えて再構築。すべての昔話をハッピーエンドに変える「子ども向け笑本(えほん)」シリーズの第二弾は、この「おおきなかぶ」をモチーフにした『おおきなかぶ~ (笑本おかしばなし)』(誠文堂新光社刊)だ。
第一弾となった「ももたろう」は7万部のヒット。インターネットやSNSで話題になったこともあり、昨年12月の刊行以降、毎月1万部単位で増刷を繰り返している。
おじいさんの畑に生えた大きなかぶ。あまりに大きすぎて一人では抜けないから、助っ人が必要だ。でもオリジナルのストーリーのようにおばあさんは手伝ってくれず、昼寝をするばかり。困ってしまったおじいさんは先にネズミや猫に手伝ってもらうことになり・・・。
「かぶを抜く」というストーリーは同じでも、細部のオリジナリティのおかげで別の作品のように感じられるし、何よりあらゆるものを「画太郎色」に染め上げてしまう画風は、前作にもまして強烈だ。そして、タイトルが「おおきなかぶ」ではなく「おおきなかぶ~」になっているのにも、画太郎的な理由がある。
シリーズ第一弾の「ももたろう」と同様、数量限定で今作も人気声優の読み聞かせ音声がついてくる。今回は、前作に出演した杉田智和さんに加えて、竹達彩奈さんも出演。この読み聞かせも、ガタロー☆マンのナンセンスな方向に突き抜けた作風に二人がついて行くどころか増幅させていて秀逸だ。ぜひ本書を手に取って確かめてみてほしい。
(新刊JP編集部)
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