我が子のことになると、急に心配性になるのが親というもの。
他の子ができていることを我が子ができなかったり、逆に他の子はやらないような問題行動を我が子がしてしまったりするのを見ると、つい「うちの子育て、大丈夫?」と不安になったり、悩んでしまいがちです。
その挙句に「どうしてあんなことをしたの(どうしてこんなこともできないの)?!」と我が子を叱りたくなってしまう人は、ちょっと待ってください。もう少し我が子と自分の子育てを信じてみませんか?
『お母さんが知らない伸びる子の意外な行動』(齋藤浩著、草思社刊)では、親が問題だと考えやすい子どもの行動のなかには、実はその子の才能や長所が見え隠れしていることがあるといいます。
親からすると、我が子の「忘れ物」にはどうしても神経質になります。授業道具を忘れることで授業に支障が出ますし、友達に迷惑をかけてしまうかもしれないからです。
ただ、誰にでもミスはあるもの。本書の著者で、公立小学校の教師として多くの子どもたちを見てきた齋藤浩さんは、「大事なのは忘れ物をした時の対応の仕方」だとしています。
何も言わずに席で固まってしまうのは、残念ながらまだ主体性が育っていない子。「忘れたから見せて」と隣の子に頼む方が、まだ主体性があるといえます。
齋藤さんが過去に受け持った子の中には、別のクラスのさして仲が良くない児童に平然と教科書を借りた子がいたそう。借りた教科書をうっかり自宅に持ち帰ってしまったため、心配して電話をかけてきた親に、齋藤さんはこう言いました。
「大切なのは、忘れ物をしたあとにどう対処するかです。間違いなく明日返せば借りた相手が困ることはありません。私にも忘れたことは言っていますし、その時間に授業のない相手から借りるというのが、誰にも迷惑をかけないやり方です。何よりほめたいのは、自分の判断で隣のクラスに行ったという行動力です。そうした力こそ、これからの時代に求められるものです」(P78より引用)
忘れ物は確かにいけないこと。でも、失敗した時にどうリカバリーするか、困った時にどう道を切り開くかを自分の頭で考えて行動できるのは、すごい長所です。親が子どもの忘れ物に思い悩む陰で、「主体性」という何にも代えがたい能力が育っているのかもしれません。
誰にでも何かしら苦手な食べ物はあるもの。そして、それがたまたま給食に出てくることだってあります。
こんな時、子どもたちの対応はおおむね3種類に分かれるのだそうです。
一つは何とかがんばって食べようとする子で、このタイプは苦手なことや嫌いなことでもがんばれる頼もしい子。もう一つは「先生、絶対に無理です」とだけ言って食べない子。
ただ、この2種類のほかに、まれに「先生、生まれてから、ずっと〇〇が嫌いなの。見ているだけで気持ち悪くなってくる。〇〇だけは許して」と強く自己主張して、相手に理解を求めてくる子がいるといいます。
自分の主張が受け入れられるかもわからないし、悪印象を持たれる可能性もある。それでも訴えるべきことは訴える、というこのタイプはコミュニケーション能力が高い子なのだそう。
親からするとわがままに聞こえて「いい加減にしなさい」となるところですが、言いにくいことでも言って、説得を試みることができる点は、プラスにも評価できるはずです。
◇
親から見たら「ウチの子、大丈夫なの!?」と不安になる我が子の行動が、実は才能や長所を示しているというケースが本書には多数紹介されています。
「お母さん、今のままで十分いい線行ってますよ」
私が声を大にして言いたいのは、まさにここです。他の人の子育ての成功例など目にしなくても、子どもたちは十分今のままで立派な大人になると言いたいのです。(P4より引用)
ともすると自信を失いがちな子育てですが、親の心配をよそに子どもは案外しっかり成長しているもの。教育現場で長い間子どもたちを見てきた齋藤さんの言葉は、子育てをする親の気持ちを楽にしてくれるはずです。
(新刊JP編集部)
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