電車で立っている高齢者に席を譲る。
友達の家に招かれた時にちょっとした手土産を持っていく。
体調が悪そうな人を見かけたら声をかけてみる。
こうした気遣いは個人の人間関係としても、社会全体としても大切なもの。一方で、その「さじ加減」はけっこう難しい。
何をどれくらいしてもらったら喜ぶかは人それぞれ。よかれと思ってやったことが、相手を悩ませてしまったり、困らせてしまったりすることもしばしばだし、逆に他人からの「素直に喜べない気遣い」に直面することも少なくない。
『その気遣い、むしろ無礼になってます!』(三上ナナエ著、すばる舎刊)は、気遣いが相手にとってありがたくないものになってしまったり、無礼になってしまったりする原因とパターン、対処法を指南する。
たとえば、たまにいるのが「プレゼントが大好きな人」。
特別な理由がないのに、友達に会うとプレゼントをしてしまうのは、本人からしたら親愛の情からくる気遣いなのかもしれないが、もらう方からするとどう対応していいかわからないことも。
何かをしてもらったり、贈り物をもらったりしたら「お返しをしなきゃ」となるのが人間というもの。あまり頻繁にプレゼントをもらっても、そのたびにお返しを考えて気が重くなってしまう人もいるだろうし、理由のないプレゼントは「なんで?」と相手を混乱させることもある。
「前に〇〇でお世話になったから」 「〇〇のお祝いだよ」 などなど、プレゼントには相応の理由がないと、相手を困らせてしまうことも多いのだ。
身近な人が悩んでいたり、体調を崩していたりする時、こちらとしては心配だし、どうにか元気になってもらおうと声をかけたくなるもの。
相手のことを思って心配するのは、まさに気遣いだ。ただ、これも大事なのは伝え方や程度である。病気で寝ている人に対して、あまり何度も連絡して病状をたずねるのは負担になるし、そのたびに「調子はどう?」と聞くと、あまりよくなっていない場合は「元気なふりをしたほうがいいかな」などと考えさせてしまうことになる。
もしかしたら、こうして何度も連絡してしまう人は、相手を気遣う気持ちの中に「自分が安心したい」という自分本位の気持ちが紛れ込んでいるのかもしれない。
気遣いは相手のためのもの。心配の気持ちを伝えるのなら、こまめに病状を聞くよりも、「何かあったらいつでも話を聞くよ」という意思を伝える方が相手は安心するはずだ。
他人への気遣いを大切にする感情の裏返しとして「他人から気遣ってもらうのは申し訳ない」という感情もある。
ただ、この感情が高じて他人に何かしてもらった時にあまりにも恐縮しすぎたり、相手の好意を受け取らなかったりするのは、相手の気持ちを損ねてしまうかもしれない。
相手がこちらのことを考えてやってくれたことに対しては、素直に好意に甘えるのも一つの気遣い。「逆の立場だったら。相手にどんな反応をしてほしいかな?」と想像すれば、相手の好意を受け入れやすくなるはずだ。
◇
相手との距離感や関係性、タイミング、言い方で適切な対応が変わってくる「気遣い」は、コミュニケーションの中でもかなり高度な部類に入るかもしれない。だからこそ、自分の気遣いがよろこばれた時の充実感は大きいものだし、上手な気遣いは相手との関係を発展させるきっかけにもなる。
様々な成功談・失敗談を通して、気遣いに必要な精神と具体的な手法を解説する本書から、スマートな気遣いの秘訣を学んでみてはいかがだろう。
(新刊JP編集部)
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