本当はやりたいのに、周りの目が気になってできない。
他人の言葉に敏感で傷つきやすく、いつまでもその言葉が頭から離れない。
やろうと決めたことを妥協してしまう。
練習したことが本番で発揮できない。
こんな時、私たちは「自分はメンタルが弱いなあ」と思ってしまうものです。
「勇気のなさ」「打たれ弱さ」「意志の弱さ」「プレッシャーへの弱さ」 などなど、メンタルの弱さにはいろいろな種類があるように見えますが、根っこは一つ。
何だと思いますか?
あらゆる種類の「メンタルの弱さ」に共通するのは 「そのときどきの気分、気持ちに振りまわされてしまっていること」 。
明治大学教授の齋藤孝さんは著書『本当の「心の強さ」ってなんだろう?: 一生を支える折れないメンタルのつくり方』(誠文堂新光社刊)でこう指摘しています。つまり、「メンタルの弱さ」とは 「気分の波、感情の波をコントロールする力の弱さ」 だと言えます。
これは、言い換えると、メンタルの弱さは「生まれつきの性格」ではなく、自分の意思で変えていけるものである、ということ。自分の心を感情任せにせず、コントロールする力は訓練によって手に入るものです。
では、反対に「メンタルの強さ」とは何を指すのでしょうか? 他人に何をいわれてもくじけないこと。
弱気にならないこと。
妥協せず、ブレないこと。
どれもメンタルの強さですが、齋藤さんは「そこまで強い姿勢は必要ない」としています。人間なのだから、たまには弱気になったり、ブレたりするのは当たり前。そのうえで必要なのはたった一つ。
「へこたれずに再起する力」 です。
失敗は誰にでもあるもの。そこでめげずに何度でも再チャレンジする力さえ持っていれば未来は明るいと齋藤さんはいいます。
失敗が果たしている功績って、本当にすごいんです。
僕は思うんですよ。成功が「うまくいった『結果』だとすると、失敗とは、「まだうまくいかない『状態』」なんじゃないかと。
つまり、成功の反対が失敗なんじゃなくて、失敗は成功の途中プロセス。まだ成功までたどりついていない段階。そうとらえるべきじゃないかなあ。(P68より)
失敗に強くなるためには、失敗を「成功するためのプロセス」と考えること。失敗を「悪い結果」と考えると、失敗を「恥ずかしい」と感じ、「失敗したくない」という恐れにつながってしまいます。それは、成長を妨げて、最終的に成功する芽を摘んでしまうのです。
◇
本書で齋藤さんは、ここで取り上げた「失敗に強くなる方法」だけでなく、「再起する力(失敗したやり方を修正して再チャレンジする能力)」の身に付け方や、コンプレックスへの対処法、自分の黒歴史との折り合いのつけ方など、私たちの勇気をくじく精神的な障害の乗り越え方について教えてくれます。
メンタルの弱さとはどんなことで、どうすれば強くなれるのか。
一生を左右することなのに、学校では教えてくれない「メンタル」。しなやかで強いメンタルを手に入れる方法を本書から学び取ってみてはいかがでしょうか。
(新刊JP編集部)
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