スカッと晴れていたかと思ったら突然の大雨。近年では、これまでにはなかった降雨量を記録したり、最高気温が35℃を超える「猛暑日」という言葉をよく聞くようになったりと、「異常気象」と呼ばれるような事態が次々に起きている。
今や天気のことを知ることは、日々の生活に欠かせないものかもしれない。
そんな時に読みたいのが『すごすぎる天気の図鑑』(KADOKAWA刊)だ。映画『天気の子』の気象監修を担当した荒木健太郎さんが、豊富な写真とイラスト、分かりやすい文章で、78の天気の秘密を説明してくれる。漢字にはルビが振ってあるため、子どもにとっても読みやすい一冊だ。
では、本書はどんな空のギモンを解いてくれるのだろうか。この中からとつてもない雨を引き起こすあのキーワードに付いてピックアップしてみよう。
近年、突然降る雨を「ゲリラ豪雨」と呼ぶようになった。その正体は積乱雲による局地的な雨で、実は昔からよくある現象だ。
積乱雲の寿命は30分から1時間ほど。横方向の広がりは数キロから十数キロくらいで、私たちの真上にやってくると突然雨が降り出し、通り過ぎると雨が上がる。ひとつの積乱雲がもたらす雨量は数十ミリ程度といわれる。
「ゲリラ豪雨」とは最近の呼び名だが、古くから「通り雨」や「夕立」、そして急に振り出す雨を意味する「驟雨(しゅうう)」と呼ばれてきた。
今年、西日本で甚大な被害をもたらした「線状降水帯」。これは集中豪雨をもたらす原因となる現象で、積乱雲が連なることで発生する。
前述の通り、ひとつの積乱雲がもたらす雨量は数十ミリ程度だが、線状降水帯では風上側で次々と積乱雲が発生している状態のため、狭い範囲の同じ場所で強い雨が数時間にわたって降り続けることになる。その結果、集中豪雨が発生するというわけだ。
災害をもたらす危険な現象だが、正確に予測するのは難しいのが現状と荒木さんはつづる。
地球温暖化の影響から、猛烈な雨や猛暑が増えているといわれるが、実際はどうなのだろうか。
最近約40年の傾向を見ると、1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が増える傾向にある。さらに、過去100年で最高気温が35℃以上だった猛暑日や、夜間の最低気温が25℃だった熱帯夜も増えているという。一方、1日の最低気温が0℃未満の冬日は少なくなっており、積雪量も過去30年で減る傾向にあるそうだ。ただ、大雨や大雪は年ごとの変動が大きいため、もっとデータを増やして調べる必要があると荒木さんは述べている。
世界規模で問題になっている「温暖化」。これから地球はどうなっていくのだろうか。
4月末に刊行され、10万部のベストセラーとなっている本書。ページを開いていくと、天気予報のコーナーで気象予報士がよく発言する言葉の意味が理解できたり、自分でも転機を予測してみることができるようになる。
これから秋にかけて台風のシーズンがやってくるなど、天気の話題は欠かさない。空のことを気軽に知ることができる一冊だ。
(新刊JP編集部)
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