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共感とロジックで合意を生み出す「7つのスキル」とは?

  • 書名 気持ちよく人を動かす
  • 監修・編集・著者名高橋浩一
  • 出版社名クロスメディア・パブリッシング

「お客様への提案」「上司への提案」「社内への協力依頼」「社内外との交渉」「メンバー指導」......、ビジネスパーソンは仕事時間の4割以上を「誰かに動いてもらうための活動」に充てていると言われている。

相手が思い通りに動いてくれないとき、正論だけで相手を説得しようとしてもうまくいかない。「心からの合意」によって気持ちよく相手に動いてもらうにはどうしたらいいのだろうか。

そのキーワードは「共創」だ。

■「共に創るディスカッション」が人を動かす

『気持ちよく人を動かす』(高橋浩一著、クロスメディア・パブリッシング刊)では、"「競争」よりも「共創」で人は動く"としたうえで、相手に気持ちよく動いてもらうためのスキルについて解説している。

では、「共創」とは一体なんなのか?
たとえば顧客にプレゼンテーションをする際に、まずこちら側の提案資料を一気に説明してしまうことはないだろうか。相手の会社の課題を指摘し、一方的にそのまま説明し、解決策を提案する。その結果、相手からは「検討しますね」という保留の言葉が出てくる。

これは悪い例だ。お互いの足並みが揃っておらず、商談での会話もキャッチボールになっていない。「共創」とは双方向のコミュニケーションによって成り立つ。初期説明は最小限の情報にとどめ、会話のボールを相手に渡し、疑問や反論を引き出し、自分と相手が同じ結論に向かうやりとりを進めていくことで、相手は納得して選択をすることができる。

本書では「悪い例」と「良い例」を具体的なケースで対比させながら、この「共に創るディスカッション」について説明している。正しさやロジックだけでは、人は動かない。社内相手でも、社外相手でも、相手と認識の目線を合わせていくことが、納得できる結論を生むのだ。

■気持ちよく動いてもらうための7つのスキル

「共に創るディスカッション」は7つのスキルによって支えられていると高橋氏は述べる。

1、想定する力
その場のゴールを設定したうえで、発生しうる壁(疑問や反論)をできる限り洗い出し、どう対応するのかシミュレーションをするスキル。

2、段取りする力
相手の発言を引き出し、双方向に進めながら、目的を達成するために、資料やアジェンダに落とし込むスキル。

3、理解を深める力
質問や積極的傾聴により、理解を通じて相手との関係を深めていくスキル。

4、見える化する力
その場に出ている情報をビジュアルで整理して相手と確認することで、場を前進させるスキル。

5、思い込みを外す力
相手のなかにある思い込みを特定して、認知の枠組みを再定義(リフレーミング)するスキル。

6、軸を動かす力
選択肢を増やしたり、判断基準を問いかけたりすることによって、意思決定の軸を動かすスキル。

7、巻き込む力
合意ができたら、決めたアクションが着実に遂行されるまで、相手と一体になって推進していくスキル。

相手と共創するには、乗り越えるべき「壁」がある。本書では、人が動いてくれない理由を「関係性の壁(気を許していない)」「情報整理の壁(状況がクリアになっていない)」「思い込みの壁(過去の経験から前向きではない)」「損得勘定の壁(割に合わない)」という4つの「壁」で定義している。

7つのスキルのうち、「1、想定する力」と「2、段取りする力」は、「壁」を乗り越えるための土台となる。そして「3、理解を深める力」から「6、軸を動かす力」にわたる4つのスキルが、それぞれの「壁」を乗り越える具体的な解決策。最後の「7、巻き込む力」で相手と二人三脚になるというわけだ。

ただ相手に働きかけても、それだけで人は動いてくれない。相手が動かない理由となる「壁」を乗り越えなければ、人を動かすのは難しい。

本書で解説されているのは、交渉術であり、コミュニケーション術であり、合意形成術である。相手に動いてもらうなら、納得して気持ちよく動いてもらった方が、成果も大いに出るはずだ。どんな立場にいる人でも、誰かを動かす機会はあるはず。その意味でビジネスパーソンは読んでおきたい一冊といえるだろう。

(新刊JP編集部)

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