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一見仕事熱心、でも実は...無意識に組織をダメにする人の正体

  • 書名 『アンチ・サボタージュ・マニュアル 職場防衛篇:組織を破壊から守る9の戦術』
  • 監修・編集・著者名R.M.ガルフォード
  • 出版社名北大路書房

よく目にする「会社の業績を上げる方法」や「組織を効率化する方法」を明かす本や記事。その一方で「組織を崩壊させる方法」や「会社のパフォーマンスを低下させる方法」はあまり耳にすることはない。

ただ、「ある従業員が誰にも気づかれることなく自分の会社を崩壊させる方法」は存在する。それは上司の指示に従わないことだろうか?それともライバル企業に秘密を漏らすことだろうか?

上司に歯向かったところで職場でのあなたの居心地が悪くなるだけで、特に組織がダメージを被ることはない。ライバル企業に秘密を漏らせばダメージを与えられるかもしれないが、大抵はバレてしまう。どちらも不正解だ。

正解は意外かもしれない。「ある従業員が誰にも気づかれることなく自分の会社を崩壊させる方法」とは、一つには「組織に従順であること」なのである。

■組織を崩壊に導く「従順」な方法

かつてCIAの前身組織である米国戦略諜報局(OSS)が、敵対勢力を内部から無力化する戦術として編み出した「サボタージュ・マニュアル」。

『アンチ・サボタージュ・マニュアル 職場防衛篇:組織を破壊から守る9の戦術』(北大路書房刊)によると、このマニュアルは、組織人としてごく普通に行動しているように見え、誰にも感知されることなく、自分の組織を破壊するためのノウハウである。

冒頭で触れた、「誰にも気づかれることなく会社を崩壊させる方法」とは、まさにこのマニュアルの中身なのである。

その最初の「従順であること」とは、どんなことであっても組織で定めたやり方を守ること。たとえ明らかに上司の指示がまちがっていて、従うと会社の利益を損ねることであっても、指摘せずに放置する。これを複数の従業員が行うことで、組織は得られた利益を失うばかりか、上司は自分の間違いに気がつかず、また同じ指示をするだろう。

それ以外にも、

・「演説」せよ
(=会議の進行を遅らせ、決議事項を十分検討できなくしたり、決議できなくするために、会議中に長々と自説を語れ。)

・できるだけ頻繁に無関係な問題を持ち出せ
(=会議中に「今の君の発言で思い出したんだけど」と唐突に無関係な話を持ち出して語れ。時間を浪費させるだけでなく、話を脱線させろ。)

・通信、議事録、決議の細かい言い回しを巡って議論せよ
(=どうでもいい個所の言い回しの正確さにこだわり抜け。)

・以前の会議で決議されたことを持ち出し、その妥当性を巡る議論を再開せよ
(=終わったことを蒸し返し、プロジェクトの推進力を奪え。)

などの項目がこのマニュアルには存在する。

ここまで読んだ人であれば、自分の所属する会社にこのマニュアルを実践する人がいたら、どれほど組織の生産性が落ち、どれほど根深い害になるかを容易に想像できるにちがいない。しかも、これらの行動はよほど度が過ぎない限り見とがめられることはなく、見ようによっては仕事熱心にも映る。これがキモなのだ。

もちろん、あなたの会社に上のような行動をとる人がいても、それは競合企業から送り込まれたスパイだということではない。重要なことは組織のパフォーマンスを下げ、瓦解させる方策を熟知したOSSが導き出したこれらの行動を無意識にやってしまっている人が、どの会社にも少なからずいるということである。

『アンチ・サボタージュ・マニュアル 職場防衛篇:組織を破壊から守る9の戦術』は、組織の生産性をさげ、瓦解に追い込むこれらの「無自覚な有害人物」にどう対処すべきかがまとめられている。

自分の会社や職場、チームを振り返れば、おそらくここで挙げたような行動をとる人物があなたの周りにも見つかるはずだ。彼らに足を引っ張られないために、本書は強力な武器を与えてくれるだろう。

(新刊JP編集部)

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