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「意志が弱い」はまちがい 努力が続かない人の真の問題点

  • 書名 『やりたいことだけやって人生を良くする わがままリスト』
  • 監修・編集・著者名山岸洋一
  • 出版社名イースト・プレス

夢や目標を持つことの大切さは嫌というほど教えられるが、実際に夢を叶えられる人はごく一握りということも、大人になるにつれてわかってくる。

では、なぜ私たちは夢や目標を実現できないのだろうか?
努力を継続できないからだろうか。それとも努力のやり方がまちがっているのだろうか。

その可能性もある。ただ「夢や目標が適切ではない」という可能性もある。『やりたいことだけやって人生を良くする わがままリスト』(山岸洋一著、イースト・プレス刊)はそんな可能性にも気づかせてくれる。

人はなぜ目標や夢の設定を誤るのか。そして適切な目標とは一体何なのかについて著者の山岸洋一さんにお話をうかがった。今回はその後編だ。

■「努力が続かない人」はどこに問題があるのか?

――「努力」についてはどうお考えですか。「夢に向かって努力しなさい」とよく言われますが、これは「人に何らかの努力をして生きさせる」ための装置として「夢」が使われているようにも見えます。

山岸:努力はするものではなくて、結果として「してしまっている」のが望ましいと思っています。人それぞれ、「これなら何時間でもやれる」ということが絶対あるはずです。他人から見たらそれは努力だけど、本人からしたら特に努力と思わずやっている。そういう分野を見つけることってすごく大事ですよね。

――努力を続けるには意志の力が必要だとされています。だからこそ三日坊主で終わりがちな人は自分を責めたり、自信がもてなかったりします。こういう人にアドバイスをするとしたらどんなことを伝えたいですか?

山岸:一つは、あなたが努力をしようとしたことの方向性は正しかったのか、という点です。先ほどのお話に戻りますが、適切に目標設定ができるのは一部の天才だけで、ほとんどの人はできません。適切でない目標に向かって努力をしようとしても、やはり辛くなってしまい、結果として続かない。これは意志力の問題ではなくて、目標がまちがっていたと考えるべきです。

もう一つは、自分が本来持っていた力を取り戻していただきたいということ。能力を100とすると、ほとんどの人は20か30くらいしか使わずに生きています。それはなぜかというと、「今すぐ実現できること」を放置して生きているからです。

――「今すぐ実現できること」とはどういったことですか?

山岸:「わがままリスト」を作っていただくとわかると思いますが、やりたいことを100個書き出したとして、そのなかには「いつか叶えられるかもしれない大きな夢」だけでなく「その気になれば今すぐ実現できること」も含まれているはずです。

たとえば「お寿司を食べたい」なら、食べに行けばいいわけじゃないですか。だけど、案外人はふと思った欲求を叶えないで放置してしまったりする。この行為によって自分の意識の奥深くに「自分は今すぐ叶えられる夢も放置する人間です。夢を大切にしない人間です」というメッセージが送られてしまう。こうやって、本来持っていた夢を叶えるパワーが削がれていってしまうんです。

わがままリストを作って、その中の「すぐ実現できること」を実現するクセづけをすると、本来持っていた自分のパワーがよみがえってきますし、リスト作りを続けることで自分の内側から湧き上がる「本当にやりたいこと」に気づくことができるはずです。

――「わがままリスト」を作る時の注意点などがありましたら教えていただきたいです。

山岸:自己啓発の世界には、「リスト系」っていうのがあって、「高級車に乗っている自分」や「世界各地を旅行する自分」など、キラキラ輝いている未来図で彩って、それをエナジードリンクのようにしてモチベーションを高めるのですが、この本のわがままリストはそれとはまったく違うものです。

そのうえで注意点をお伝えすると、一つは少なくとも一年くらいは続けていただきたいということ。そのくらい経った頃には自分が変わった実感を持てていると思います。3カ月くらいあれば変化は実感できると思いますが、一年続ければもっと大きな変化があるはずです。

もう一つは、リストは自分の心に正直に作ること。今の若い方々は僕らが若かった頃と比べても意識が高いですし、世の中のことを真剣に考えています。僕の頃なんてバブルでしたから、みんな自分のことしか考えてなかったですよ(笑)。それと比べると今の方々は本当にすばらしいです。

一方で、自分の欲望を率直に出すのは苦手なようにも感じます。「わがままリスト」を作る時は、「人のためになるか」とか「世の中の役に立つか」という観点は脇に置いておいて、自分自身の欲望に忠実になっていただきたいです。誰かに見せるものではないですしね。

――今のお話にあった「リスト系」の自己啓発と今回の本の違いとも関係すると思いますが、「わがままリスト」を作ることでどのように人生が変わっていくのでしょうか。

山岸:まず「やりたいこと」を100個書き出すというお話をしましたが、書き出したらそのうちの「すぐに叶えられること」をやってしまうんです。そうすることで「今すぐできることを放置しつづける自分」から卒業できますし、「自分はやりたいことを実行して叶える人間です」というのが意識の奥深くにメッセージとして伝わって、本来持っていた夢を叶えるエネルギーが戻ってくるんです。

やりたいことはあるのに実行に移さず溜め込んでいる状態を、この本では「夢詰まり」と呼んでいるのですが、すぐできることをやってしまうことで、この夢詰まりは解消されて、やりたいことがまた新しく浮かび上がってくる。これを繰り返すことでだんだんと自分の内側から湧き出てくる「本当にやりたいこと」がわかってきます。そうなると冒頭でお話しした「適切に目標を設定できない人」ではなくなってくるんです。

本来持っていたエネルギーを取り戻すことができることと、純度の高い夢が内側から湧き上がってくること。この2つで人生は変わります。

――最後に、この本の読者の方々にメッセージをお願いいたします。

山岸:今、なかなか大変な社会情勢のなかで、若い方々を中心に将来の希望を持てなかったり、先の人生楽しく生きていけるのか不安だったりと、閉塞感に悩んでいる人はいらっしゃると思います。この本はそういう人にこそ読んでいただきたいです。

最初にお話ししたように、時代が変われば幸せに生きる方法も変わるのですが、まだそこに対応した方法を教えてくれるものがない状況です。今後新しい時代にふさわしい生き方、考え方、ノウハウを教えてくれる本が出てくるはずですが、この本で提唱している「わがままリスト」もその一つです。ぜひ読んでいただいて、今より少しでも人生をいい方向に動かしていただけたら嬉しいです。

(新刊JP編集部)

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