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期待に応えすぎず自分を大切に。女性がイキイキと働くために必要な「自分力」とは

  • 書名 女性がイキイキと働き続けるためのヘルスリテラシー
  • 監修・編集・著者名北奈央子
  • 出版社名セルバ出版

「男性は外で稼ぎ、女性はいいお母さんになる」といったかつての価値観が薄れてきているとは言われているが、実際のところ、いまだに男女の差は大きい。日本のジェンダーギャップ指数ランキングは2021年の段階で156か国中120位、先進国の中では最低レベルだ。

意思決定ができる場にいる女性の割合もまだまだ低く、例えば東京商工リサーチによる上場2220社を対象とした2021年3月期決算「女性役員比率」調査によれば、女性役員の比率は7.4%(*1)と、前年よりは高くなっているものの、低水準となっている。日本社会は未だに男性目線でできていると言える。

そうした社会の中で、女性がイキイキと働き続けるためには何が必要なのか。
徹底した女性目線で女性向けのサービスを提供する株式会社ジョコネ。を経営する北奈央子さんは、著書『女性がイキイキと働き続けるためのヘルスリテラシー』(セルバ出版刊)で「自分力」が大切だと訴える。

■「自分力」を高めて自分らしくイキイキと働く

北さんは「女性のヘルスリテラシー」を「自分力」と表現する。

ヘルスリテラシーと聞くと、「健康や医療の情報を見極める力」と考える人もいるだろう。もちろん、その力も大切だが、それだけではない。北さんは次のようにつづる。

ヘルスリテラシーの定義は、使う方、その状況によっていろいろな使われ方をしているのが現状です。中でも情報の入手や理解として使われている方が多いと思います。
しかし、本書の中でのヘルスリテラシーは「行動」を含むまでの定義としています。女性が自分の健康のために必要な行動をとるところまでを範囲と考えて、大事なことをお伝えしていきます。 (本書p.17より)

ここで北さんが言っている「行動」とは、自分の身体と心に向き合い、自分を大切にすることだ。

女性には月経、更年期、デリケートゾーン、骨盤底筋などといった特有の健康課題がある。そして、これらの健康課題は「恥ずかしい」という思いから直視しにくく、周囲に相談しにくいことがある。

そのため、なんとか期待に応えようと「不調があるけれど無理をして頑張る」という選択をしてしまう女性も多いが、社会や周囲の期待に応えることを優先せず、自分がどうしたいのかという心の声を聞きながら、社会と自分のバランスをとることが大切だ。また、女性だけでなく周囲や社会が女性特有の健康課題について理解して環境を整えていくことも重要であると北さんは述べている。

■月経時の不調の影響を小さくする3つのステップ

女性の健康課題の中でも、最も身近なものが月経だ。女性にとっては、月に1回その日がきて、調子の悪さを感じることが当たり前になっている。そのため女性自身もそれを前向きに対処しようと思わずやりすごしていることも実は多い。

さらに月経による不調は、複数の症状が重なっていることがある。症状の代表的なものが月経困難症と月経前症候群(PMS)だ。
月経困難症は、月経痛の中でも日常生活に影響をきたすほどのものをいう。PMSは排卵と月経の間に起こる不調で、月経前1週間ほどに心、身体、行動などにさまざまな症状が出る。月経よりもPMSのほうがつらさを感じるという人もいる。月経による不調は個人差が大きいことも男女ともに知っておいてほしいポイントだ。

北さんは、こうした月経時の不調の影響を小さくするための方法として次の3つのステップを取り上げている。

(1)まずは自分の月経と体調を知る
どの心身の不調が月経と連動しているか知るために、手帳やアプリを使って、体調と月経の記録をつける。月経の期間だけではなく自分の不調についても記録していくと、連動が見え、自分をより知ることができる。

(2)改善するための工夫をする
女性ホルモンの不調には薬やセルフケアなど選択肢があり、人によって合う方法が異なるので、自分なりに試してみることが大切だ。婦人科を受診してみるという選択肢もあり、また、睡眠や食事などの生活面の改善を試すなど、いろいろ試して自分に合ったセルフケアを探っていくことが重要。 仕事面では、可能であれば仕事の山場を外す、在宅勤務を選択するといったことが有効だが、職場の環境にもよる。北さんは「企業側にも調整しやすい文化、制度づくりをお願いしたいです」と呼びかけている。

(3)周囲に相談する
それでもやはりできることには限界がある。そのときは、周囲に相談することが大切だ。友人に相談する、婦人科で専門家から情報をもらうでもいい。職場の場合は、上司や先輩に、仕事の調整の相談をしてみるのもいいだろう。
「1人で我慢をしてしまうと、そこから状況が変わりません」と北さん。勇気を出して相談してみてほしいと呼びかけている。そして相談を受けた周囲は、その人に合った対策を一緒に考えてほしい。なぜなら月経による不調も、それをどう対処したいかも人それぞれだからだ。

 ◇

これまで多くの女性の話を聴いてきたという北さん。そうした中で気づいたことが、自分を大切にする「自分力」の大切さだった。女性はマルチタスクになることが多く、どうしても自分のことを後回しにしがちだ。健康課題や社会からの要求に苦しんでいる多くの女性たちに対して、「完璧を求めなくていい。もっと手をぬいていい。周りに頼っていい。いい女性、妻、母じゃなくていい。自分を大事にしていい。」と訴える。

本書は、女性が実は頑張りすぎている自分に気付くとともに、本当に大切にすべきことは何かを教えてくれるとともに、周囲がそれをどう支えるべきかを考えさせられる一冊だ。女性だけでなく、家庭や職場で女性を支える立場にある男性にも読んでほしい。

(新刊JP編集部)

参考ウェブページ
*1...上場企業2220社 2021年3月期決算「女性役員比率」調査
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210716_03.html

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