考えに考え抜いて、最後に直感に頼って決断したところ...後で「やっぱり別の方法にしておけばよかった」と後悔したことは誰にでもあるはず。そんなケースが多いなら、物事の決め方を見直す必要がある。あなたの意思決定のやり方は、もしかしたらまちがっているかもしれない。
『何でそれに決めたの? ビジネスから日常まで、迷ったときのファイナンス思考』(而二不二著、総合法令出版刊)では、ファイナンスの理論に基づいた「ファイナンスマインド」による意思決定の方法を教えてくれる。判断ミス、決断ミスが多い人は参考になる一冊だ。
著者は大学卒業後国内メガバンクに入行してから28年間、地方公共団体、上場企業からベンチャー企業まで2,000社以上の資金調達や上場支援、M&A仲介の支援に携わってきた而二不二氏が、企業やお金のやりくりをするファイナンスの理論から考え方の部分だけを抽出し、誰もが大切な決断の場面で実践できるファイナンスマインドを紹介する。
ファイナンスマインドでは、選択肢の「価値」を「お金」に換算する。選択肢の価値を「◯円(いくら)」という形で「見える化」することで、比較がシンプルになるという。決断する際の一つの基準を「お金」で示すというわけだ。その選択肢がもたらす未来の価値とその根拠をお金という数字で見える化することで、決断の説得力を持たせることができる。
選択肢の未来の価値を現在の価値に置き換え、「お金」というモノサシで測り、自分のゴールを達成できるかを検討する。さらに決断までのプロセスでは7つのことを考慮する。
1.人間の心のクセ(バイアス)
自分にどんな思考のクセがあるか把握する。
2.ゴールの達成度を優先する(自分の価値重視)
決断までのプロセスでは、常にゴールうの達成度が高い、つまり「価値ある」選択肢を意識する。
3.勝てる土俵を見極める
ゴールや選択肢を考える段階で「戦う土俵を間違えない」こと。
4.達成までのスピードを重視する
ファイナンスでは、最短で最高の結果を出せるかどうかを優先する。
5.キャッシュフローで考える
常にお金の流れを意識する。
6.未来の価値を優先する
物事の価値とは、現在の価値そのままでは測れないこと、未来の価値は現在の価値から割引されたものであることを覚えておく。
7.投資的に考える
消費・投資という意識を持つことが大事。投資的な行動は未来の価値を生み出すことを目指す。
これらの7つのポイントをおさえて、決断までのプロセスを考え、自分にとって正しい決断をするために必要な考え方を身につけることがファイナンスマインドの基本となる。
大きな決断をする場面のためにも、普段の生活の中から、その時その時で正しい決断、選択ができていれば、大きな決断でも後悔しない選択ができるはず。最善策を見つけるためにも、ファイナンスマインドを取り入れてみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)
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