世の中の先行きがどんどん見えにくくなるなかで、5年先、10年先の自分がはっきりイメージできる人はどんどん減っているはず。
仕事にしても、会社に勤めていれば定年まで安泰という時代ではないし、ビジネスの世界の変化は速く、今盛況な業界が10年後もそうとは限らない。 「これさえやっていれば一生安心」 というものは、現代にはもうないのかもしれない。
ただ、 「時代や環境が変化しても、周囲から必要とされる人の条件は変わらない」 としているのが『「自己責任」を強いられる時代に社会へと踏み出す君たちへ』(鳥原隆志著、WAVE出版刊)だ。
どんなに環境が変化しても強かに生き抜き、周りから必要とされる人たちは、もちろん技術やスキルを持っていますが、何より仕事に対する考え方、関わり方が違っています。そこが驚くほどに共通しているのです。(P4より)
周りに必要とされているうちは仕事がなくなることはない。どこにいても、何歳になっても求められる人の仕事への関わり方とはどのようなものか。
自分の人生は自分のもの、という感覚は誰でも持っている。だからみんな自分の人生には当事者意識を持っていることになる。
ただ「仕事」となると、当事者意識は急に怪しくなる。特に組織や会社にいると「自分だけの問題じゃない」と考えやすい。
たとえば、自分の会社全体に関わる問題があったり、職場環境に問題があったりしたとき、「自分は関係ない」ではなく、「自分も悪い状態を作っている一人かもしれない」と考えられるかどうか。そして「自分に何ができるか」と考えられるかどうか。それによって周囲からの信頼感は変わってくるのだ。
新しい行動を起こしたいと思う人はたくさんいるが、実際に行動を起こす人はその中の一部だ。
さらにその行動を継続することができる人は、ごくわずかだ。
それほど継続することは難しいことなんだよ。(P 41より)
何かを継続することの大切さも難しさも誰もが知っている。だからこそ、ビジネスの場では「継続できる人」「コンスタントにいい仕事ができる人」が評価される。
「あの人に任せれば安心」「彼ならきっと大丈夫」と周囲から思ってもらえたら、それは最高の財産になる。つまらない仕事もやりたくない仕事も働いている限りはつきものだが、それが「不要な仕事」かどうかは、一定のポストにいないとわからないことも多い。投げ出さずに続けられるかどうかを、同僚も上司も見ている。
会社や社会から常に求められる人になれば、仕事を選ぶことができる。これは会社内でもそうだし、転職でも同様。引く手数多の中から、自分がやりたい仕事を選べばいい。当然、待遇も上がっていく。
その状態になれれば仕事人生は勝ったも同然だが、逆に早めにその状態を作れないと歳をとるごとに選択肢は狭まり、条件の悪い仕事をたくさんの人と奪い合うことになる。
どちらにいくかは自分次第。仕事を選べる立場になるために必要なのは専門性や技能だけではない。本書はもっと大切な「仕事への姿勢と関わり方」について教えてくれる。新社会人をはじめとした若手ビジネスパーソンはもちろん、すべての社会人にとって得るものの多い一冊だ。
(新刊JP編集部)
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