これからの時代において、お金は働いて得るだけでなく、投資を通して増やしていくことも必要だ。岸田政権が「貯蓄から投資へ」という方針を打ち出し、投資に対する注目が集まっている今、始めてみようと思っている人も少なくないだろう。
投資にはいろいろな種類がある。代表的なものが株式投資だが、その株式投資も国内、国外があり、国外でも先進国、新興国などそれぞれ特徴がある。
『社畜会社員から資産1億つくった僕がフィリピンの株を推すこれだけの理由』(ぱる出版刊)は、フィリピンの株式投資について初心者に向けて解説する一冊だ。
著者の町田健登氏は、海外赴任でフィリピンに渡航。社畜生活を抜け出すために読んだ『金持ち父さん 貧乏父さん』で投資に目覚め、詐欺被害などを経験しながらもフィリピン投資を続け、31歳で純資産1億円を達成した。
そんな町田氏はフィリピンというマーケットについて、「人口ボーナス最大」と述べる。
人口ボーナスとは、その国における若い人の割合が過半数を超え続ける期間のこと。家、車、教育などでお金を使う若者が増えている限りは、その国は発展し続ける。
フィリピンの場合、現在の経済レベルは日本の1970年代と同じレベルだが、2050年までそのボーナス期間が続くといわれており、タイやマレーシアといった東南アジア各国よりも長いと想定されている。
「安く仕入れて高く売る」が株の基本だが、フィリピンはまだまだ株価が低い。さらに上場会社も270社で歴史ある財閥系企業やそのグループ会社が多く、手堅く投資ができることから、大きく期待できると町田氏は述べる。
ただ、フィリピン株に可能性と魅力を感じたとしても、丸腰で挑むのはNG。しっかりとした下調べや情報収集は必要だ。町田氏は「フィリピン株の情報弱者は100%負ける」と断言する。
まだマーケットとしてあまり注目されていないということは、それだけ十分な情報も出回っていないということ。さらに、そこにつけ込む詐欺業者や悪徳ブローカーも存在するという。
日本で株式を購入する場合、基本的にはファンドを活用して購入することになるが、個別銘柄やIPOの新規公開株が購入できなかったり、手数料が現地の証券会社よりも高額になったりするという。10銘柄を購入した場合、手数料だけで10万円かかるケースもある。
そこで、現地証券口座で個別銘柄やIPOを購入することになるのだが、口座の開設を高額で仲介・斡旋する業者がいたり、お金を払っても口座が開設されないといったトラブルが起こっているそうだ。
また、最悪なケースが代行入金だ。町田氏によれば、不慣れな個人投資家に対して「代理で送金する」と持ち掛け、お金を預けたらそのまま持ち逃げされるトラブルが起きているという。「代理で送金する必要がある」と言われた場合は詐欺業者であることを疑い、金融庁のライセンスをもった国際送金業者など、信頼できる業者を探すことが必要だ。
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何事もスタートをする前には準備が大切。特にフィリピン投資においては、正しい情報の収集や信頼できる業者の選定は必要不可欠だ。本書ではそうしたフィリピン投資の注意点やメリット、さらには投資法や産業別オンリーワン銘柄の紹介まで、場数を踏んできた町田氏の知見が公開されている。
町田氏自身、投資経験ゼロから資産形成を行ってきたが、その経験を踏まえて「フィリピン株は初心者に向いている」とアドバイスする。本書を読めば、その理由が分かってくるはず。フィリピンという国自体に興味が沸いてくる一冊だ。
(新刊JP編集部)
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