副収入や老後資金の準備など、資産形成の一環として「不動産投資」を考えている人は少なくないだろう。しかし、多くの元手が必要なのではないか、物件という大きな買い物をして失敗はしないだろうかと不安も尽きない。
そんな不動産投資に必要なものは「中長期的なプランニング」であり、「一歩ずつバランスよく買い進めること」として、「戸建て」「新築アパート」「中古アパート」を組み合わせた「トライアングル不動産投資」を提唱するのが、「神・大家さん倶楽部」の創設者・木村洸士さんだ。
初の著作『不動産投資は組み合わせが9割』(合同出版刊)を出版した木村さんへのインタビュー後編では、自身の経験を交えながら不動産投資を始める前の準備について話をうかがった。
(新刊JP編集部)
――ここからは木村さんご自身についてお話をうかがいたいのですが、不動産投資を始められたきっかけは何だったのですか?
木村:システムエンジニアだったのですが、20代後半にストレスから体を壊してしまって、頻繁に筋肉の痛みや頭痛に悩まされるようになってしまったんです。そのうちに体が動かせない日も出てきてしまって、このまま働けなくなったら収入はどうするんだろうという不安が出てきました。何とか会社には復帰しましたが、副収入となり得るものを探すことにしたんです。
もう一つのきっかけは老後のお金の不安です。親世代を見ても、一生懸命働いたからといってお金に余裕がある老後生活ができているかというと、そうではないような気がします。これだけ大変な思いをして働いて、体も壊して、将来も不安で...これが本当に安定と言えるのだろうかと考えたときに、収入が会社だけということはリスクにしか感じなかったんですね。
だったら、会社員だけにこだわる必要はないと思って、投資の勉強を始めました。株式も勉強しましたし、投資信託も見たりして。そういう風にいろいろ見ていった中で不動産投資に辿り着いたという経緯です。
――不動産投資を始めるときに元手はどのくらいだったのですか?
木村:28歳で貯金が400万円ですね。でも最初の中古アパートを購入するときに、その貯金から頭金を出したので貯金がいきなり100万円を切ってしまいました。
――そこから少しずつ手を広げていったと。
木村:そうです。ただやっぱり最初は苦戦しましたし、手探りでしたね。不動産投資というジャンルが投資として良くても、物件の買い進め方次第ではお金の減り方が全然違いますし、多くの方の場合、自己資金が尽きてしまったりします。銀行も住宅ローンとは違って常に満額融資してくれるわけではないので、どういう風にやりくりしていけば買い進めていけるのかは悩みどころでした。
――道が開けた瞬間というとどのタイミングだったのでしょうか。
木村:1棟目の入居がなかなか埋まらず、2棟目として100万円で購入した物件もボロボロ過ぎて修繕にお金がかかってしまいました。その時は貯金が9万円になっていました。
その時、家賃収入は入り始めていたものの、これは何年たてば元に戻せるのだろうと考えたときに、一度仕切り直したほうがいいと考えたんです。それで、買い進め方が間違えていたことを認めて、購入した物件を売りに出したところ、1棟目の物件はそんなに利益が出なかったのですが、100万円で買った2棟目の物件は500万円で売れたんです。税金抜いても400万円くらいは手元に戻ってきました。
道が開けたのは、このタイミングですね。不動産投資もやり方を工夫すれば利益が出るという手ごたえをつかんだというか。それから、良いやり方って一体どういうやり方だろうと追究し始めていきました。
――その中で、「トライアングル不動産投資」という手法はどのように編み出したのですか?
木村:中古アパートの売却で経験を積むことができたので、次は新築アパートに進みました。新築は比較的融資が出やすいですから、新築に手を出そうとプランを組んで。その時には不動産投資の勉強もだいぶしていて、新築アパートから中古アパートという順番の買い進め方が良いということを知っていたので、自分としてはスムーズに事を運べたのですが、その少し後から戸建て投資にも手を伸ばしてみたんですね。
そうしたら、戸建て投資の良さに気付きまして。不動産投資のスタートに戸建て投資をやったら、リスクを最小限にしつつ経験を積めると思ったのです。不動産投資ってどうしてもアパートのイメージが強くて、1棟目から戸建てってなかなか想像できないと思うのですが、自分としては戸建てを最初に持ってくるのが理想だと考えました。
――それで「トライアングル投資法」の買い進め方が形成されたわけですね。不動産投資を始める前の準備についてお聞きしたいのですが、これから不動産投資を始めようと思っている人はどんなことに気を付けるべきですか?
木村:準備というか、なぜ不動産投資をするのかという目的意識、目標設定はしっかり持つようにすべきだと思います。自分が不動産と通してどういう風になっていきたいのか、しっかりイメージできている人の方が成功できると思います。
今、会社員をしている人であれば、不動産投資を成功させて会社を辞めてもいいわけですし、会社員の収入以外のもう一つの収入の柱として不動産投資を考えてもいいです。その違いによって目標も大きく変わってきます。
また、そうした意識付けをするためには、不動産投資についてしっかり勉強することが大事ですね。私もたくさん本を読んで、大事なところには線を引いて、理解して覚えて、理論武装、知識武装をして投資を始めた記憶があります。
――最後になりますが、本書をどんな人に読んでほしいと思いますか?
木村:今、会社勤めをしている方で、収入の不安があったり、老後の資産が心配という方ですね。また、不動産投資を始めてみたけれど、どうしても次のステップへの進み方が分からないという方にもできるだけ手に取って読んでほしいです。
実際に始めてみると、戸建ても、新築アパートも、中古アパートもあって、どうやって買い進めていけばいいのか分からなくなると思うんです。複数を組み合わせていく感覚をつかむのは意外と難しくて、どうしても戸建てなら戸建てだけ勉強するという風になってしまいがちなので、その感覚を身につけてもらうためにも、早めに本書を読んでみてほしいですね。
(了)
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