岩井忠正さん99歳、岩井忠熊さん97歳。合わせて196歳の兄弟が経験した特攻体験を語る講演会「元特攻兵 岩井兄弟からの最後の証言」が2019年11月9日午後1時半から早稲田大9号館5階第1会議室で開かれる。資料代1000円(学生無料)。問い合わせは「不戦兵士・市民の会」(0438・40・5941)。
2人は戦争末期に3種類の特攻戦「人間魚雷・回天」「潜水特攻・伏龍」「水上特攻艇・震洋」に従事した。
忠正さんは慶応大学文学部哲学科二年生の時に徴兵猶予が停止になり海軍へ。1943年10月21日、神宮外苑で行われた学徒出陣壮行会にも参加した。海軍で「回天」の要員になり、訓練を受けたが、肺結核の疑いをもたれ、感染が広がると困るということでメンバーから外される。その後改めて「伏龍」の要員に回され、訓練を受けたが、実戦に出る前に終戦を迎えた。
忠熊さんは京都大学文学部在学中の43年12月、横須賀第二海兵団に入団。航海術を学んだあと「震洋」の要員になり、45年3月23日、五島列島から南方に向かう船団で移動中、米潜水艦に襲撃される。船はわずか25秒で船尾を垂直にして轟沈。海に飛び込み3時間漂流して救助された。隊員187人のうち生き残ったのは45人。さらに訓練を続けているうちに終戦。戦後は立命館大学の教授や副学長をつとめた。『近代天皇制のイデオロギー』など多数の著書がある。
2002年に共著『特攻――自殺兵器となった学徒兵兄弟の証言』(新日本出版社)を出している。兄弟で特攻体験を語るのは初めてだという。
BOOKウォッチでは、兄弟の姉の嫁ぎ先一家の数奇な運命を忠熊さんが描いた『陸軍・秘密情報機関の男』(新日本出版社)のほか、特攻隊関連で『改訂版 つらい真実―― 虚構の特攻隊神話』(同成社)、『海軍伏龍特攻隊』(光人社NF文庫)など多数紹介している。
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