「余分なものはもういらない。今あるものをとことん輝かせると決めた」――。
元宝塚トップスター・安奈淳さん、74歳。難病を克服し、現在は歌手としてコンサートやショーを中心に活躍中。また、最近ではインスタの私服ファッションが話題を呼び、ファッション誌にもたびたび取り上げられている。
本書『70過ぎたら生き方もファッションもシンプルなほど輝けると知った』(主婦の友社)は、「喜怒哀楽すべてをイヤになるほど体験」したという安奈さんが、生き方の金言とともに着回し術や服選びのコツを披露した1冊。
クローゼットを開けると、白、黒、紺。あとはベージュと茶が少し。手持ちの服が少なく、「着回し」は当たり前。
そんな安奈さんの「永遠のスタメン」は、「黒パンツ」「チノパン」「白カットソー」「ロングカーディガン」「革ジャン」の5つ。とくに出番が多く、「これがなくなったら泣いてしまう」というほど頼りにしているという。
安奈さんのワードローブには、10年、中には20年、30年着続けているものも。気に入ったら値段を見ずに買うため、ノンブランド、ファストファッション、ハイブランドがごちゃまぜの状態に。5000円のチノパンを30年間履き続けているという。
「流行など無関係に、好きな服は何年でも着続けます。それが私流のおしゃれ、なのかもしれません」
眺めながら、ファッションセンスも立ち姿も「かっこいいなぁ」と何度も唸った。じっくり綴られたエッセイにも興味を惹かれた。
「好きなものを着ているだけですがひとつ言えるのはシンプルが好きということ。生き方も、身に着けるものもシンプルなほど心地いいと感じるこの頃です」
年齢を知って驚くが、じつは50代から「病気だらけの日々」だったという。死にかけたことも1度や2度ではなく、自身を「『病気のデパート』のような人間」と書いている。
大量の薬の副作用でひどいうつ症状になり、投げやりな気持ちが強くなった時期も。副作用で髪が抜けると「面倒くさい」とバリカンで刈り上げ、「もう旅行なんてできないから」と車を処分。洋服、アクセサリー、絵、ミンクのコート......さまざまなものを手放した。
「それはある意味正解だったのだと思っています。本当に大事なものだけが手元に残ったからです」
本書は安奈さんにとって、写真満載の初のヴィジュアル本。エッセイも読み応えがあり、コンパクトながら中身が濃い。
■目次■
Prologue
Chapter1 歌に人生を込めること、そこに心血を注ぎたい
Chapter2 青春を燃やした宝塚の13年間、内向的だった子ども時代
Chapter3 生きることをあきらめかけた、長い闘病の日々
Chapter4 今の自分に似合うもの、心地いいものを着ていたい
Chapter5 ベーシックな服の着回しに、頭をひねるのが楽しい
Chapter6 好きなものに囲まれた、私らしい暮らし方
Chapter7 大事なものを抱きしめて、これからも生きていく
Epilogue
安奈さんの年齢に近くてもそうでなくても、本書は「こんなふうになりたいな」と思える、生き方とファッションの1つのお手本になるだろう。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?