ロシアがウクライナに侵攻してからおよそ一か月半。大方の予想を裏切り、ウクライナは軍事・政治の両面で健闘している。「2日間でキエフを制圧する計画だった」というロシア側の計画を頓挫させたのは、コメディアン出身の素人政治家・ゼレンスキー大統領の演説だった――。
2022年4月13日、扶桑社より、『緊急出版! ゼレンスキー大統領、世界に向けた魂の演説集』が発売された。
ウクライナ侵攻にあたってロシアは、世界中に情報を発信できる自国の通信社などを通して、「ウクライナ東部でネオナチや民族主義者がロシア系住民に対しジェノサイド(大量虐殺)を行っている」など、国連に「偽情報」と断定されるようなフェイクニュースを拡散し、いわゆる「情報戦」を展開しているとされる。
このロシアの「情報戦」に対抗するためのウクライナ側の武器が、今回、緊急出版されたゼレンスキー大統領のオンライン演説なのだという。
もともとウクライナ大統領府のサイトやYouTubeなどでの情報発信に熱心だったゼレンスキー大統領だが、2月24日のロシアによる侵攻以降は連日のように演説を行っている。
侵攻初日には2本の演説動画をアップし、最初のスピーチでウクライナの市民を鼓舞するとともにロシア国民にプーチン政権への抵抗を呼びかけた。侵攻からしばらくすると、各国の議会でオンライン演説を行い、ウクライナへの支援を訴えはじめた。英国、ポーランド、カナダ、アメリカ、ドイツ、イスラエル、イタリア、日本、フランス、スウェーデン......各国に向けて、その国の歴史、文化を語りながら、自らに引きつけて支援を呼びかけている。
本書を編集する「ウクライナ侵攻」分析班は、このゼレンスキー大統領の演説がウクライナ国民を鼓舞し、各国の人々に支援を呼びかけたことことが、「大きな被害を出しながらも、ウクライナが持ちこたえている要因」の一つになっていると分析。「日本だけでなく他の国々に向けた演説はいかなるものだったのか、それについても知ってほしい」と、緊急発刊に踏み切ったのだという。
掲載されているゼレンスキー大統領の演説には、ウクライナおよび演説をした国々の事情を知らないと理解しづらい表現もあるが、それぞれの演説の末尾に簡単な注釈が掲載され、日本人でも理解しやすいようになっている。世界の今を知るために役立つ一冊だ。
【収録内容】 ■はじめに
■ロシア軍の侵攻から......28日目
ロシアのウクライナ侵攻により、この世界は不安定になりました。誰が明日を予想できるでしょう?
――日本の国会でのオンライン演説
■ロシア軍の侵攻から......1日目
新しい「鉄のカーテン」が、ロシアを文明世界から引きずり下ろすのです
――ウクライナ市民とロシア人へのオンライン演説
■ロシア軍の侵攻から......4日目
私たちは、自分たちが何を守っているのか正確に知っています
――ウクライナ市民へのオンライン演説
■ロシア軍の侵攻から......13日目
私たちが始めてもいなければ、求めてもいなかったすさまじい戦争についてお話しします
――英国議会でのオンライン演説
■ロシア軍の侵攻から......16日目
私が大統領に就任したとき、私たちの関係は冷めきっていましたね
――ポーランド共和国議会でのオンライン演説
■ロシア軍の侵攻から......20日目
この事態を子供たちにどう説明するのか、想像してみてください
――カナダ下院議会でのオンライン演説
■ロシア軍の侵攻から......21日目
我々はウクライナだけを防衛しているのではなく、世界のために自らの命を犠牲にしています
――アメリカ合衆国連邦議会でのオンライン演説
■ロシア軍の侵攻から......22日目
ロシアとの交易路はヨーロッパを分断する「新しい壁」の上に張られた有刺鉄線です
――ドイツ連邦議会・下院でのオンライン演説
■ロシア軍の侵攻から......24日目
この戦争を始めた者たちの銀行口座を完全凍結することが必要なのです
――スイスの路上集会に集まった市民や政治家へのオンライン演説
■ロシア軍の侵攻から......25日目
「最終的解決」......またその言葉が使われています。私たちの「ウクライナ人問題」について
――クセネト(イスラエル国会)でのオンライン演説
■ロシア軍の侵攻から......27日目
ウクライナは食糧輸出国でした。しかし、ロシアの砲撃が続くなかで、どうやって種を蒔けばいいのですか?
――イタリア議会でのオンライン演説
■おわりに
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