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ハトの「鳩胸」って、人間に置き換えるとどれくらいの大きさ?

となりのハト

 外に出れば、公園、駅前、道端などいつでもどこでも、何を考えているのかわからないあの顔でうろついている鳥、ハト。毎日のように見かけるあの鳥のことを、あなたはどれだけ知っているだろうか?

「ハトはオスもミルクを出して子育てする」 「下を向いて水をごくごく飲めるのは実はハトだけ?」 「ハトは首を振って歩いているわけではない」 「50億羽もいたのに、人に食べられて100年で絶滅したハトがいる」 「伝書鳩はエジプトのファラオも利用していた」

 あいつにそんな秘密があったなんて......。

 『となりのハト 身近な生きものの知られざる世界』(山と渓谷社)では、人間の知らないハトのさまざまな顔をのぞき見ることができる。そのなかから一部、「鳩胸」の秘密をご紹介しよう。


 ハトの体つきで特徴的な「鳩胸」。前に大きく張り出したあの胸の中身は、発達した筋肉だ。なんとその割合は体重の31~44%。もし、体重の4割もの胸筋をもっている人がいたら......想像するとかなり怖い。

 この屈強な筋肉は飛翔筋といって、翼を動かすためにある。ハトは、他の鳥より大きく発達した飛翔筋を使って、力強く羽ばたいて高速で飛ぶことができる。つまり逃げ足(逃げ羽?)がとても速い。タカなどに比べて丸腰同然のあの鳥は、天敵からひたすら逃げることで生き延び、繁栄してきたのだ。

 ハトの群れが急にドババババと飛び立ってびっくりしたことがある人は多いのではないだろうか。あの飛び立つ勢いをつくっているものこそ鳩胸というわけだ。あの飛び立ち方のせいでハトが怖くて苦手という人もいるかもしれないが、仕方がない。彼らはああやって生きてきた。

 『となりのハト』ではほかにも、日本や世界のユニークなハト、絶滅したハトなど、知られざるハトの世界がたくさん紹介されている。そして、ときには害鳥として駆除もされてしまうハトだが、彼らと人との間には深いつながりがあった......。

 読んでしまえば、もうハトを無視できない。ハトだらけの町に住んでいるあなたに、ぜひ。

【目次】
第1章 ハトという鳥
第2章 日本のゆかいなハトたち 身近編
第3章 日本のゆかいなハトたち 遠方編
第4章 世界のハト、絶滅したハト
第5章 ハトはいつでも人のとなりに

■柴田佳秀(しばた・よしひで)さんプロフィール
1965年、東京生まれ。東京農業大学卒業。テレビディレクターとして北極やアフリカなどを取材。「生きもの地球紀行」「地球!ふしぎ大自然」などのNHKの自然番組を数多く制作する。2005年からフリーランスとなり、書籍の執筆や監修、講演などを行っている。主な著書・執筆に『講談社の動く図鑑MOVE 鳥』(講談社)、『日本鳥類図譜』(山と溪谷社)、『カラスの常識』(子どもの未来社)など。日本鳥学会会員、都市鳥研究会幹事。


※画像提供:山と渓谷社


   
  • 書名 となりのハト
  • サブタイトル身近な生きものの知られざる世界
  • 監修・編集・著者名柴田佳秀 著
  • 出版社名山と渓谷社
  • 出版年月日2022年3月19日
  • 定価1485円(税込)
  • ISBN9784635063104

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