2023年7月6日、2023年6月23日に発売された山崎章郎さんの新著『ステージ4の緩和ケア医が実践する がんを悪化させない試み』(新潮社)の増刷が決定され、第8刷となった。
著者は、日本のホスピス・緩和ケアの草分けとして活躍し、「病院で死ぬということ」が100万部を超えるベストセラーとなった緩和ケア医。5年ほど前に大腸がんを宣告され、抗がん剤治療を受けるものの、強い副作用が出たため治療を中断。普段どおりに生活しながらでき、高額な費用がかからず誰もが受けられる「がん共存療法」の実現を目指して、自らの身体を実験台に試行錯誤を続けている。
本書は、そんな著者自身のがん闘病の体験記。「朝日新聞」「アエラ」「週刊金曜日」から「文藝春秋」「週刊新潮」「月刊HANADA」まで、さまざまなメディアで取り上げられ、注目を集めている。
著者が提唱し、自ら実践する「がん共存療法」は、「MDE糖質制限ケトン食」「クエン酸療法」など既存の代替療法に、少量の抗がん剤投与を組み合わせたもの。2023年1月より被験者を募って臨床試験がスタートしたが、その効果はまだ科学的に証明されていない。
「MDE糖質制限ケトン食」は、糖質を制限し、代わりのエネルギー源となるケトン体を多く産生する食事療法で、がん細胞の増殖を抑え、弱らせるとされる。「クエン酸療法」は、がんが分裂・増殖していくための栄養素であるブドウ糖の細胞内への取り込みを抑えることで、がん細胞を弱らせるという。
代替療法には疑似科学やオカルトに近いものも多く、医師の間での評判はすこぶる悪い。だが、抗がん剤治療で日常が壊れるほどの副作用を体験した著者は、今まで自分が行ってきた緩和ケアの仕事には「怠慢」があったと感じ、「医療現場の皆様から、『山崎、お前もか!』といった、落胆や、嘲笑、侮蔑の声をいただく」ことを覚悟してでも、その代わりとなる治療法を確立することが患者への償いとなると考えているという。
■山崎章郎さんプロフィール
やまざき・ふみお/1947年生まれ、福島県出身。緩和ケア医。75年千葉大学医学部卒業、同大学病院第一外科、国保八日市場(現・匝瑳)市民病院消化器科医長を経て、91年聖ヨハネ会桜町病院ホスピス科部長。97年〜2022年3月まで聖ヨハネホスピスケア研究所所長を兼任。2005年在宅診療専門診療所(現・在宅療養支援診療所)ケアタウン小平クリニックを開設したが、体調のこともあり、2022年6月1日より、同クリニックは医療法人社団悠翔会に継承され、現在は同クリニック名誉院長として、非常勤で訪問診療に従事している。著書に『病院で死ぬということ』(主婦の友社、文春文庫)、『続・病院で死ぬということ』(同)、『家で死ぬということ』(海竜社)、『「在宅ホスピス」という仕組み』(新潮社)など
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