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教育者が教える、子どもの能力を引き出す「読み聞かせ」絵本選びのコツ

  • 書名 子どもの脳を刺激し、将来の選択肢を増やす「七田式」究極の読み聞かせ
  • 監修・編集・著者名七田厚
  • 出版社名幻冬舎

問題になっている子どもの読解力低下。それだけではない。イメージ力やコミュニケーション、自己肯定感など...。こうした力を家庭教育で養うにはどうすればいいのか。

その一つの解が子どもへの「読み聞かせ」だと語るのが、七田式教育を主宰するしちだ・教育研究所の七田厚氏だ。

七田氏が上梓した『子どもの脳を刺激し、将来の選択肢を増やす「七田式」究極の読み聞かせ』(幻冬舎刊)は、読み聞かせの効果、方法、そして読み聞かせに向いている絵本を紹介したブックリストまで網羅する一冊。
そんな七田氏へのインタビュー後編では、絵本選びのコツなどについてお話を聞いた。

(新刊JP編集部)

■絵本選びのコツ。たまには子どもの興味が向いてないジャンルの絵本を選ぼう

――本書では63ページにわたっておすすめの絵本を七田さんが紹介していますが、これを読むと最近の絵本はバリエーションが豊かだなと思います。

七田:そうですよね。自分が子どもの頃になかったような仕掛け絵本をはじめ、いろいろなスタイルの絵本が出ていて感心します。

――本書のブックリストで紹介されている絵本は、ここ10年間で出版されているものが多いですが、それは何故ですか?

七田:実はここで紹介している絵本は、七田式から出している子育て情報誌『夢そだて』の中で、私が紹介した絵本を引っ張りだしてきたんです。さらに、ここにある絵本は全部、自分が書店に行って探してきたもので、出張などで全国を飛び回る際に地方の書店で絵本を吟味したりしますし、取り上げる絵本はかなり考えていますね。

『夢そだて』の読者アンケートでも「絵本のチョイスが良いです」という声をいただくことがあって、そういう声を聞いてさらに良い絵本を選ぼうと本腰を入れるという感じです(笑)。そういえば、読み聞かせをするお母さん自身が物語に感動してしまって、涙で最後まで読めませんでしたという声をいただいたこともあります。

――大人も感動をしてしまう絵本ってありますよね。

七田:そうなんですよ。登場人物に感情移入して読み始めたら、ぐっと込み上げてくるものがあったそうです。かく言う私も、実はそういう経験をしたことがあります(笑)。読み聞かせている立場ではありますが、あまり気持ちを入れ過ぎると、自分自身がやられてしまうということってありますよね。

――絵本の選び方のコツについてはいかがでしょうか?

七田:子どもが興味を持っている絵本、「この本読んで!」って言ってくる本を読んであげてほしいです。場所や費用の問題もあると思うので図書館も大いに利用しながら、でも子どものお気に入りの絵本はいつでも手にとって読めるようにすべきなので、子ども用の本棚を作って購入して、繰り返し読むといいと思います。

あとは、ときどきは子どもが絶対に選ばないような絵本を読んであげてください。それはなぜかというと、子どもの世界は親が広げてあげないと広がらないんです。例えば子どもに「将来何になりたいの?」と聞いても、その子が知っている職業の中でしか選べません。だから、知らない世界がいっぱいあることを、親自身が子どもに見せてあげることが必要です。

星座の神話について書かれた絵本を読んであげれば、もしかしたら星座に興味を持って、プラネタリウムに行こうという話になるかもしれない。絵本や図鑑を使って子どもの興味や関心を広げていってほしいです。本当はいろんな場所に連れていくといいのでしょうけど、コロナ禍で外に出にくいですからね。こういう時こそ絵本を大いに利用して、親が子どもにどんどん新しい興味を提案してほしいです。

――小学生くらいになって、絵本を卒業したら今度は児童書に移る時期が出てくると思います。そのときの移行の仕方についてはどのようにすればいいでしょうか。

七田:児童書は絵本よりも難しいですよね。登場人物も増えますし、状況設定も細かくなります。その把握ができるまでは難解で退屈なものという印象を持たれてしまうかもしれません。だから、絵本と児童書の境目にあるような本、例えば『かいけつゾロリ』シリーズを挟んだりするといいと思います。

――今回上梓された『「七田式」究極の読み聞かせ』ですが、どのような人に読んでほしいとお考えですか?

七田:幼児期のお子さんを持つ親御さんはもちろん、小学生の子どもがいる親御さんにも読んでほしいですね。ぜひ、この本の内容やブックリストを読み聞かせをするときに参考にして欲しいと思います。

読み聞かせを毎日30分以上する必要はなくて、続けていくことが大事だと思っているので、1日3冊15分とかでも全然いいんです。日常のワンシーンに読み聞かせを組み入れてもらえればいいですね。

また、読み聞かせを自分の子だけでなく、ボランティアとしてよその子にもされている方がいらっしゃいますが、献身的に読み聞かせをすることでこんな効果があるんだ、こんな本があるんだということを知ってもらえるとありがたいです。

――では、最後に読者の皆様にメッセージ、この本の読みどころなどをいただけると幸いです。

七田:絵本を子どもの身近な存在にしてほしいと思います。読み聞かせって子どもにとっては受け身的な感じに思えるかもしれないけれど、絵本がいつもそばにある環境を子どもに作ってあげることで、いろいろなことに興味を持たせることができるし、どんどん語彙力やイメージ力といった6つの力を育てることができます。

なので、特に3歳くらいまでのお子さんには、スマートフォンで動画を見せるよりは、絵本と親しませてあげてください。それが生きていくうえで大事な力を養うことになりますから。

(了)

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