お金の心配をしていると強くストレスを感じるもの。
できるならこんな心配はしたくない。だから、お金はあるだけあった方がいい。だけど、お金のためだけに生きるのってなんだかまちがっている気がする。お金より大事なものもある。え? そんなもの本当にある? その「大事なもの」って守るのにお金がかかるんじゃない?
お金に対する考えや態度は人それぞれだが、二つの相反する感情を抱えている人も多い。これはたとえば「お金は欲しい。だけどお金を追いかけるのは守銭奴のようで嫌」や「お金持ちに憧れているのに、テレビに出るお金持ちを見ると嫌な気分になる」など。だから、なかなか素直に「お金大好き。たくさん欲しい」とは言えない。
『職業、お金持ち。』(冨塚あすか著、すばる舎刊)は、私たちが無意識のうちに持ちやすい、お金に対する複雑な感情を鋭く指摘。女子大生の「あすかちゃん」と大富豪の「えびすさま」の対話を通じて「お金に好かれる人」とそうでない人の違いを明らかにし、どうすればお金に好かれるのかを教えてくれる。
ここでは本書から、お金持ちになるために必要な考え方を示す言葉を紹介しよう
(貧しい人は)何か恨みでもあるのかというぐらいに、お金に負の感情をあれこれ背負わせようとする。お金はとても綺麗好きだから、そういうドロドロとしたものにまみれるのを極端に嫌うんだ。(P57-58)
貧しい人、お金がない人ほど、人生がうまくいかないのをお金のせいにする。お金のせいで不幸になったり、お金のせいで争いに巻き込まれたり、などなどその言い分には様々なものがあるが、お金は単にお金であってそれ以上でも以下でもない。もしお金がもとで嫌な目にあったのなら、それはお金の扱い方に問題がある自分のせいなのだ。
お金が好きな人は、お金に感謝している。お金が嫌いな人は、お金に感謝の気持ちがない。お金に感謝できない人は、そのままでは決してお金持ちになれない。(P59)
お金がない人だって日々の生活でお金を使っている以上、お金には愛着や感謝を感じてもいいはず。額の多寡はともかく、お金があるからこそ生活できるということに気づき、お金への嫌悪感を取り去ることが、お金持ちへの第一歩だ。お金を好きになれば、少なくともお金を得るために何をすればいいかという方向に頭は回りはじめる。
収入をひたすらに上げ続けることでお金持ちになる人、投資だけでお金持ちになる人は一定数いるが、節約だけでお金持ちになったという人を、僕はまだ一人も知らない。(P70-71)
お金がない人ほど節約に走るが、本書によると、節約にはこれといっていいところがなく、かえって貧乏のもとになるそう。どんなに節約しても、せいぜい浮くのは月に数万円。ストレスをためながら楽しみややりたいことを我慢して、数万円浮かすくらいなら、やりたいことをやりつつ、アルバイトをしたり、不要なものを売ったりしてその数万円を作る方が健全だ。
◇
誰にとっても他人事ではないお金。
できることならお金に困らず暮らしたいものだが、そのためには知るべきことがある。
まずは、本書でお金に対する複雑で屈折した感情を解きほぐすところからはじめてみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
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